扇子の起源は?名前の由来は?日本にはいつ伝わった?広めたのは誰?扇子の歴史をわかりやすく解説。

扇子の歴史

日本の夏の風物詩といえば、扇子が欠かせません。畳んだり広げたりできる扇子は、実用性と美しさを兼ね備えた伝統工芸品です。しかし、扇子の起源や歴史、名前の由来について詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、扇子の発祥地や広まった経緯、そして日本における扇子の発展について解説します。

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扇子の起源

扇子の起源は、古代中国にさかのぼります。中国では、紀元前2世紀頃に羽根や竹を使った団扇が使われていました。やがて、この団扇に骨を追加し、折りたたみ式にしたものが扇子の原型だと考えられています。6世紀頃には、扇子が朝鮮半島を経由して日本に伝わったとされています。

日本では、飛鳥時代(592年〜710年)に中国から伝来した扇子が、宮中で儀式や舞踊に用いられるようになりました。平安時代(794年〜1185年)になると、貴族の間で扇子が広まり、『枕草子』や『源氏物語』などの古典文学にも登場するようになります。

扇子の名前の由来

「扇子」という名前は、「扇(おうぎ)」と「子(し)」からなっています。「扇」は、「あおぐ」「あおいで風を起こす」という意味を持ち、「子」は、「小さいもの」「愛らしいもの」を表します。つまり、「扇子」とは、「小さくて愛らしい、風を起こすもの」という意味になります。

江戸時代(1603年〜1868年)には、「紙扇子(かみせんす)」「絵扇子(えせんす)」など、材質や用途に応じた呼び名もありました。

日本における扇子の発展

平安時代以降、扇子は日本独自の発展を遂げました。鎌倉時代(1185年〜1333年)には、武士の間でも扇子が広まり、合図や威嚇に用いられました。室町時代(1336年〜1573年)には、京都の扇子職人が技術を磨き、螺鈿や蒔絵など豪華な装飾を施した扇子が作られるようになります。

江戸時代になると、庶民の間でも扇子が普及し、浮世絵や俳句のモチーフにもなりました。職人の技術が向上し、様々な絵柄や材質の扇子が生み出されました。各地で扇子の産地が形成され、現在でも京都、丸亀、高山などが有名です。

扇子を広めた人物

扇子を広めた人物として、江戸時代の実業家である渋沢栄一が知られています。渋沢栄一は、1873年に東京・日本橋で扇子問屋「伊場仁商店」を開業し、扇子の大量生産と販売に尽力しました。また、海外への輸出も手掛け、日本の扇子文化を世界に発信しました。

明治時代(1868年〜1912年)以降は、扇子が外国人向けのお土産としても人気を博し、今日に至るまで日本文化を象徴するアイテムの一つとなっています。

まとめ

扇子は、古代中国で生まれ、日本に伝わった後、独自の発展を遂げた伝統工芸品です。平安時代から貴族文化に取り入れられ、江戸時代以降は庶民の間でも広く愛されるようになりました。「扇子」という名前には、風を起こす小さな道具という意味が込められています。渋沢栄一をはじめとする人々の尽力により、扇子は国内外に広まり、日本文化を彩る存在となりました。この夏も、美しい扇子を手に取って、日本の伝統を感じてみてはいかがでしょうか。

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