赤ちゃんの頃に受けた「はんこ注射」を覚えていますか?正式名称はBCG(Bacillus Calmette-Guérin)ワクチン。結核を予防するために、日本では長年行われている定期予防接種です。
この記事では、BCGワクチンの仕組み・なぜハンコと呼ばれるのか・効果や副反応・日本の接種制度までわかりやすく解説します。
結論:BCGは結核の重症化を防ぐ大切なワクチン
BCGは、重症の結核(全身に広がる結核や髄膜炎など)を予防する効果が高いことが科学的に証明されています。特に免疫の弱い赤ちゃん期で重要な予防手段として位置づけられています。
BCGとは?なぜ「はんこ注射」と呼ばれるの?
BCGの正式名称
- Bacillus Calmette-Guérin(カルメット・ゲラン桿菌)
- 牛の結核菌を弱毒化したワクチン株
ハンコ注射と呼ばれる理由
- 特徴的なスタンプ型接種器具を使用
- 小さな針が複数ついた器具を皮膚に押し当てて注射
- 跡がスタンプ模様に残りやすい
子どもの頃に受けた佐藤さん(仮名)も、「友達同士で腕の跡を見せ合った思い出がある」と振り返っています。
BCGの主な効果
- 結核の重症化(全身性結核・結核性髄膜炎など)を高確率で予防
- 発症リスクを約50~80%程度抑えると報告(WHO、厚生労働省資料)
👉 大人の肺結核に対しては完全な予防効果は限定的
👉 それでも重症化予防効果は長く持続する
BCGの効果は大人になっても残るの?
- 幼少期のBCGは主に乳幼児の重症化リスクを下げる目的で実施
- 成人後の一般的な肺結核予防効果は低下するが、完全に無意味ではないと考えられている
- 成人の結核は早期発見・早期治療が中心になる
BCGが他の病気にも効く?(最近の研究)
- BCGが免疫全体を活性化させる「非特異的効果(trained immunity)」が近年注目
- インフルエンザや新型コロナへの影響が研究されたが現時点では医学的根拠は限定的
👉 他感染症への効果はまだ慎重に研究中
日本のBCG接種制度
- 1951年から日本で導入
- 現在は生後1歳未満の赤ちゃんが対象(定期接種)
- 接種率は95%以上と非常に高水準(厚生労働省データ)
👉 結核は日本でも年間約1万人の新規患者が発生(高齢者中心)
BCGの副反応・注意点
- 軽度な副反応:赤み、腫れ、発熱など(自然軽快することが多い)
- 稀に脇の下のリンパ腺が腫れる
- 非常にまれに重篤な副作用(BCG感染症)は起こりうる(免疫不全児など)
👉 重大な副反応のリスクがある場合は医師が慎重に判断
BCG接種跡は残るの?
- 時間とともに薄くなるが、うっすらと跡が残る人も多い
- 傷ではなく免疫反応の名残
海外旅行・留学時の注意点
- 短期旅行では通常証明不要
- 長期滞在・一部地域では結核検査書類が求められるケースもあるため事前確認が大切
まとめ:BCGは今も大切な公衆衛生ワクチン
- BCGは重症結核から乳幼児を守る重要な予防接種
- 現在も結核は完全に消えていない感染症
- BCGのおかげで結核の発症率は大きく抑えられている
- ワクチン接種は個人と社会を守る仕組み
公衆衛生の恩恵に感謝しつつ、今後の研究と進化にも注目していきたいですね。