お正月になると、神棚や玄関に飾られる鏡餅。ふっくらした丸いお餅を重ね、上には橙(だいだい)がちょこんと乗っている、あの姿――毎年見かけるけれど、「なぜあの形なの?」「そもそも“鏡”って何?」と、ふと疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、鏡餅の名前の由来から、形や飾りの意味、飾る時期や鏡開きの風習まで、正月に欠かせないこの伝統飾りについてやさしく解説します。
鏡餅の「鏡」とは?名前の由来と意味
鏡餅の「鏡」は、古代の神事で使われた銅鏡(どうきょう)に由来します。神様の依代(よりしろ)として信仰された銅鏡は、円く平らな形状で、神聖な力を宿すと考えられていました。
そして餅は、古来より神様への供え物とされてきた神聖な食べ物。この2つを組み合わせたのが「鏡餅」――つまり、神様を迎えるための特別な飾りという意味が込められているのです。
鏡餅の形や飾りに込められた意味
- 二段の丸い餅
- 上段が小さく、下段が大きい形は「陰と陽」「天と地」「太陽と月」などの対を表します。
- 丸い形には「円満」「調和」「永続」の願いが込められています。
- 橙(だいだい)
- 「代々家が続くように」という子孫繁栄の願いを込めた縁起物です。
- 裏白(うらじろ)
- 裏が白いシダの葉。「清らかさ」「白髪になるまでの長寿」を象徴しています。
- 昆布
- 「よろこぶ」の語呂合わせ。祝い事に用いられる食材です。
- 串柿・干しするめ(地域による)
- 西日本を中心に、地域によって独自の飾りが加えられることもあります。
いつ飾る?鏡餅の正しいタイミングと場所
飾る時期
- 一般的に最も縁起が良いとされるのは12月28日
- 29日は「苦餅」と読めて不吉とされ、避けられがち
- 31日(大晦日)は「一夜飾り」として神様に失礼と考えられます
飾る場所
- 神棚や床の間、玄関など、清らかで目立つ場所が推奨されます
こうした正月飾りは、歳神様をお迎えするための準備です。大晦日の「除夜の鐘の意味や由来」を知っておくと、年越しの流れ全体がより理解しやすくなります。
片付けはいつ?鏡開きの意味とやり方
飾った鏡餅は、正月が明けた1月11日ごろに下げて食べるのが習わし。これを「鏡開き」と呼びます。
- 包丁などの刃物は使わず、木槌や手で割るのが正式な方法
- 割った餅は、お汁粉や雑煮などにしていただきます
この「神様にお供えしたものをいただくことで力を分けてもらう」という考え方は、正月に食べる「おせち料理の由来や意味」とも共通しています。食と信仰が密接に結びついているのが、日本の年末年始文化の特徴です。
現代の鏡餅スタイルと飾り方のコツ
最近では以下のようなタイプが主流です:
- プラスチックケース入りの鏡餅(中に個包装の餅入り)
- 小型・ミニサイズの飾りタイプ
- キャラクターや干支モチーフの商品も登場
飾るときのポイント
- 上下を間違えない(大きい餅が下)
- 傾かないように安定した場所に置く
- 直射日光や高温を避ける
また、鏡餅を飾る直前に年越しそばを食べる家庭も多いですが、その意味も実は深いものがあります。「年越しそばの由来と地域差」を知ると、より一層正月の行事が味わい深く感じられるでしょう。
まとめ
鏡餅は、神様の象徴である「鏡」の形に、神聖な食べ物「餅」を重ねた正月飾りです。その形や飾りには、家族の健康や繁栄、長寿などのさまざまな願いが込められています。
現代ではスタイルや飾り方が多様になりましたが、「新年を神聖に迎え、感謝と願いを込める」という心は今も昔も変わりません。