「水だけで金属が切れるって本当?」「ウォータージェットってどれくらい強力なの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
ウォータージェットカッターは、私たちが想像する以上に多彩な素材を、しかも高精度で切断できる驚きの技術です。
この記事では、ウォータージェットの基本構造から切断できる素材、さらには「水+研磨剤」で可能になる応用範囲まで、知っておくと面白い情報をわかりやすく紹介します。
結論:ウォータージェットカッターは水だけで金属も石材も切断できる!研磨剤を加えると超硬素材も対応可能
高圧水を極細のノズルから噴射することで、ステンレスや大理石、ガラスなどの硬い素材をも切断可能。
さらに、ガーネットなどの研磨剤を加えた「アブレシブウォータージェット」では、焼入れ鋼やセラミックスといった超硬素材にも対応できます。
ウォータージェットの仕組みとは?
ウォータージェットは、「高圧ポンプ」と「微細ノズル」の組み合わせで成り立っています。
- 高圧ポンプ
- 水に200〜400MPa(メガパスカル)という極めて高い圧力をかける
- これは家庭用水道の数千倍の圧力に相当
- 微細ノズル
- 髪の毛ほどの細さ(0.1〜0.4mm)から水を噴射
- 毎秒600〜900mのスピードで対象に当たる
この超高速の水流が、材料表面を瞬時に削り取りながら切断していくのです。
切断できる素材一覧|「水だけ」でここまで切れる!
ウォータージェットは熱を使わない「冷却切断」なので、素材に熱影響を与えずに加工できます。
- 金属類
- ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン など
- 石材
- 御影石、大理石、花崗岩、スレート など
- ガラス・セラミック
- 強化ガラス、タイル、陶器などもクラックを入れずに切断可能
- 樹脂・ゴム・木材
- プラスチック、合成ゴム、コンパネなど
- 複合材料(FRP系)
- CFRP(炭素繊維強化プラスチック)
- GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)
厚みは数mm〜数十mmまで対応可能で、3次元形状や曲線の加工にも適しています。
「アブレシブウォータージェット」とは?研磨剤で切断力アップ!
硬すぎて水だけでは切れない素材には、「研磨剤」を加える方法が使われます。
- 使用される研磨剤:
- ガーネット(天然の鉱物。モース硬度6〜7)
- 硅砂(シリカサンド)など
- アブレシブの特徴:
- ノズル内で水流に研磨剤を混合
- 水の勢いに研磨粒子の破壊力が加わり、削り取るように切断
これにより、以下のような高硬度素材の加工が可能になります。
- 焼入れ鋼、工具鋼、超硬合金
- 厚さ40mm以上の石材やタイル
- 高耐熱セラミックス
- アラミド繊維などを使った高機能複合材料
他の切断技術との違い
技術 | 特徴 | 熱影響 | 精度 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
ウォータージェット | 水と圧力で削る | なし | 高い | 多種多様な素材 |
レーザー切断 | 高温のレーザーで溶かす | あり | 非常に高い | 薄板金属、精密部品 |
プラズマ切断 | 電気とガスで溶断 | あり | 中程度 | 厚板金属 |
メカニカル切断 | ノコギリや刃物で切る | 少 | 中程度 | 木材、樹脂など |
ウォータージェットは「熱が使えない・変形させたくない素材」や「火花・粉塵を出せない現場」で重宝されています。
ウォータージェット技術の応用例
- 航空機部品のCFRP加工
- 医療機器部品の精密切断
- 建築パネルの複雑形状カット
- 石材・タイルの装飾加工
- 車両用断熱材の多層切断
デザイン性と精密性の両立が求められる現場で、ウォータージェットは欠かせない技術になっています。
まとめ
ウォータージェットは、水だけで金属や石材を切断できる強力な加工技術です。
熱による変形がなく、非常に高精度な切断が可能。さらに研磨剤を加えることで、硬質金属やセラミックスなども加工できます。
「どんな素材でも、形状でも、美しく正確に切る」——
それを実現するのが、ウォータージェットカッターの魅力です。