短距離走の選手はなぜマッチョなの?筋肉質な理由をわかりやすく解説

短距離選手

陸上競技を見ていると、短距離走の選手はみんな体がガッチリしていて、いわゆる“マッチョ”な印象を受けませんか?
一方、マラソンや長距離選手はスリムで細身の体型が多く、同じ「走る」競技なのに体つきがまったく違います。

「なんで100m走の選手だけ筋肉ムキムキなの?」
そんな疑問に、科学的な視点からわかりやすくお答えします。

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結論:一瞬の爆発力に“瞬発系の筋肉”が必要だから

短距離走は、スタートの反応速度や加速力、トップスピードの維持など、数秒の間に最大限の力を発揮する必要があります。

そのため、必要なのは「速く力強く動ける筋肉」=速筋(白筋)です。

この速筋を鍛えるためのトレーニングでは、高負荷の筋トレや瞬発系の運動が中心となるため、自然と筋肉が太く発達し、マッチョな体型になっていくのです。

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「速筋」と「遅筋」ってなに?

私たちの筋肉には、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. 速筋(そっきん)=白筋
    • 短時間で大きな力を出す
    • 持久力は少ないが爆発的な動きに向いている
    • 短距離走、ジャンプ、ウェイトリフティングなどで活躍
  2. 遅筋(ちきん)=赤筋
    • 長時間使い続けられる持久力のある筋肉
    • 力は小さいが疲れにくい
    • 長距離走、登山、水泳などに向いている

短距離走の選手はこの速筋を極限まで鍛えることで、スタートダッシュや100mを9秒台で駆け抜けるような身体能力を発揮しているのです。

筋肉を大きくする理由とは?

単に速く走るだけでなく、「大きな筋肉」が必要な理由は主に以下の通りです。

  1. スタートで一気に加速するため
    • 地面を強く蹴る力=筋力が必要
  2. スプリント中のフォームを安定させるため
    • 姿勢を保ち、パワーを効率よく伝えるには体幹や腕の筋肉も重要
  3. 一歩ごとの推進力を最大化するため
    • 太ももやお尻の筋肉が大きいほど、蹴り出しの力も大きくなる

そのため、短距離走のトップアスリートはウェイトトレーニングを積極的に取り入れ、競技の一部として“筋肉を育てる”ことを重視しています。

マッチョに見えるけど、ただの筋トレではない

一見ボディビルダーのようにも見える短距離選手の体ですが、実は「見た目の美しさ」よりも、「競技のための効率的な筋肉」が優先されています。

  • 腕の振りや腰の回転を最大限に生かせるよう、無駄のない筋肉構成
  • ジャンプやダッシュ、急停止といった動作の反復に耐える筋力
  • 体重が重くなりすぎないようバランスを保った体づくり

つまり、“機能美”としての筋肉=走るためのマッチョなのです。

全力で走っていれば筋肉はつく?それとも筋トレしてる?

「走っていれば自然とマッチョになるのでは?」という疑問ももっともです。
結論から言えば、走るだけでもある程度は筋肉がつきますが、それだけであそこまでマッチョにはなれません

短距離選手は、競技練習に加えて戦略的に筋トレ(ウェイトトレーニング)を取り入れています

具体的には:

  • スクワットやデッドリフトなど下半身の爆発力を高める種目
  • ベンチプレスなど上半身の安定性を高める種目
  • クリーンやスナッチといった全身を連動させる瞬発系種目

などを通じて、「速く走るために必要な筋肉」だけを効率よく強化しています。

一方、スプリントそのものも高強度のトレーニングではありますが、筋肥大(筋肉を大きくする)という観点では刺激が限定的です。
特に上半身や体幹は走るだけでは十分に鍛えられないため、別途ジムでの筋トレが不可欠なのです。

つまり、短距離選手のマッチョな体は「走っていたら自然にそうなった」というより、走るために意図的に作り上げた体ということになります。

長距離選手との違いは「持久力 vs 瞬発力」

マラソン選手や駅伝ランナーがスリムなのは、「遅筋」を中心に鍛えているからです。
長時間走り続けるには、軽さと持久力が最優先。無駄な筋肉は酸素消費を増やすだけなので、必要最小限の筋肉を維持する方向で鍛えられます。

つまり、「マッチョかどうか」は見た目ではなく、競技の特性に合わせた最適化の結果なのです。

まとめ

  • 短距離走の選手がマッチョなのは、爆発的なスピードを出すために速筋を徹底的に鍛えているから
  • 筋肉は“走るための道具”であり、競技に最適化された「機能的な体」
  • 走るだけで筋肉はある程度つくが、あそこまでの筋肉は意図的な筋トレによるもの
  • 長距離走との体型の違いは、「瞬発力」か「持久力」かの違いによるもの
  • 短距離選手の筋肉は、速く走るための“機能美”と言える

今度オリンピックや陸上競技を観るときは、選手の筋肉にもぜひ注目してみてくださいね。

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