認知症は高齢者の病気というイメージが強いですが、実は若い人でも発症する可能性があります。この記事では、若年性認知症について、発症年齢や原因、症状、診断、治療法などを詳しく解説します。若年性認知症の実態を知り、早期発見・早期対応の重要性を理解しましょう。
若年性認知症とは
若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことを指します。40代、50代といった働き盛りの年齢で発症するケースもあり、本人や家族、周囲の人々に与える影響は大きいです。
若年性認知症の発症年齢と頻度
若年性認知症は、主に45歳から64歳の間に発症しますが、もっと若くして発症するケースもあります。日本における若年性認知症の患者数は、推定3.8万人から7.2万人とされています(2021年現在)。全認知症患者数の約2~3%を占めると考えられています。
若年性認知症の原因
若年性認知症の原因は、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症など、高齢者の認知症と同様に多岐にわたります。ただし、若年性認知症では、アルツハイマー病と前頭側頭型認知症の割合が高くなる傾向があります。
また、若年性認知症の発症には、遺伝的要因が関与している場合もあります。家族性アルツハイマー病や家族性前頭側頭型認知症などがその例です。
若年性認知症の症状
若年性認知症の症状は、以下のようなものがあります。
- 記憶障害(物忘れ、約束の忘却など)
- 言語障害(言葉の理解や表現が困難になる)
- 見当識障害(日時や場所がわからなくなる)
- 実行機能障害(計画を立てたり、順序立てて行動することが難しくなる)
- 人格や行動の変化(無関心、抑うつ、脱抑制など)
これらの症状は、高齢者の認知症と類似していますが、若年性認知症では、仕事や家庭生活に直結する実行機能障害や行動の変化が目立つ傾向があります。
若年性認知症の診断
若年性認知症の診断には、医療機関での以下のような検査が行われます。
- 問診と神経心理学的検査
- 画像検査(MRI、PETなど)
- 血液検査
- 髄液検査(必要に応じて)
早期発見・早期診断が重要ですが、若年性認知症は、うつ病などの他の疾患と混同されやすく、診断が難しいケースもあります。
若年性認知症の治療
若年性認知症の治療は、原因となる疾患に応じて行われます。アルツハイマー病や レビー小体型認知症には、症状の進行を遅らせる薬物療法が用いられます。前頭側頭型認知症には、非薬物療法(認知リハビリテーションなど)が中心となります。
また、若年性認知症では、就労支援や家族支援など、社会的な支援も重要です。認知症の人やその家族が、適切な支援を受けられる体制づくりが求められています。
まとめ
若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症であり、働き盛りの年代で発症するケースもあります。若くても認知症になる可能性があることを理解し、症状に気づいたら早期に医療機関を受診することが大切です。また、社会全体で若年性認知症の人やその家族を支える仕組みづくりが必要とされています。