「アイツにシカトされた」なんて会話、誰でも一度は聞いたことがありますよね。
でも冷静に考えると「シカト」って何?鹿と関係あるのかな?――私も学生時代に初めて耳にしたとき、意味は分かっても由来は全然イメージできませんでした。
そこで調べてみると、意外や意外、あの日本の伝統ゲーム「花札」に行き着いたんです。
まず結論から

「シカト」は花札の十月札に描かれた鹿が語源です。
鹿が横を向いていて、まるで「そっぽを向いて無視している」ように見えることから、無視を意味するようになったとされています。
辞書(デジタル大辞泉など)にも明記されていて、昭和30年代には警察の隠語として使われ、その後に若者言葉、そして一般に広がったそうです。
つまり「シカト=花札発祥」というのは間違いなく定説なんですね。
どうやって言葉が広がったのか
もともとは博打仲間の隠語でした。「鹿十(しかとお)」→「シカト」という省略形で呼ばれ、意味も「相手にしない」=「無視」に。
そこから不良少年たちが日常的に使い出し、漫画や映画を通じて全国に広がった…という流れ。
実際に花札の札を見てみると、鹿がほんとうに横を向いているんですよね。私は初めて見たとき「たしかにシカトしてるな」と思わず笑ってしまいました。
花札が語源の言葉は他にもある?
「シカト」以外にも、花札から生まれた日本語があります。
- ピカイチ 20点札の「光札(ピカ)」と、カス札1枚の配りを「ピカイチ」と呼んだのが始まり。そこから「一番優れている」という意味に。
- 猪鹿蝶(いのしかちょう) 10点札の組み合わせ役。猪・鹿・蝶をそろえると高得点になることから、この三つをまとめて呼ぶように。
- カス札 1点札のこと。点数が低いことから「役立たないもの」を「カス」と呼ぶようになった…と一般的に言われます。ただし人を侮辱する「カス」は、もともと“搾りかす”の意味が先にあり、花札はあくまで「影響を強めた存在」と考えるのが自然です。
誤解されがちなものも
- 赤点(あかてん) テストでの赤点は「赤インクで書かれた点数」が由来。花札とは関係ありません。
- 一か八か よく「おいちょかぶ(花札の賭博遊び)」から来たと勘違いされますが、実際は「丁か半か」というサイコロ賭博が起源とされます。
まとめ
- 「シカト」は花札の鹿札が由来。鹿が横を向いている姿から「無視する」の意味に。
- 確実に花札発祥なのは「ピカイチ」「猪鹿蝶」「カス札」など。
- 「赤点」や「一か八か」を花札由来とするのは誤解。
普段何気なく使っている言葉の背景に、実は古くからの遊びや文化が隠れている――そう思うと、日本語って一段と面白く感じませんか?