「甘くて健康に良い」と思われがちなハチミツ。でも、実は食べ方や産地によっては”酔ったような症状”を引き起こすことがあるのをご存じでしょうか?
その名も「ハチミツ酔い」。海外旅行や自然採取の際に注意すべきこの症状について、原因・症状・予防策までわかりやすく解説します。
結論:日本の市販品ではほぼ起こらないが、海外や野生採取では注意!
「ハチミツ酔い」は、特定の植物から採取された蜂蜜に含まれる天然毒素「グラヤノトキシン」が原因で起こる中毒症状です。日本の市販蜂蜜ではほとんど心配不要ですが、海外産や自然採取品ではリスクがあります。
ハチミツ酔いとは?
ハチミツ酔いは、ツツジ科植物(特にシャクナゲなど)に由来する蜜に含まれるグラヤノトキシンという毒素が原因で起こる中毒症状です。飲酒による酔いではありません。
グラヤノトキシンは神経に作用し、ナトリウムチャネルを開きっぱなしにして神経細胞を異常に興奮させる作用があります。
症状:軽度〜重度まで幅広い
摂取量や個人の体質によって異なりますが、以下のような症状が報告されています:
- 軽度:めまい、吐き気、低血圧、発汗
- 中等度:頭痛、嘔吐、筋力低下
- 重度:意識障害、けいれん、不整脈、呼吸困難
通常は数時間で回復しますが、重症化した場合は医療機関での治療が必要です。
どの蜂蜜に注意すべき?
以下のような状況で採取・購入される蜂蜜は注意が必要です:
- ツツジ科植物(シャクナゲ、アセビなど)の蜜が含まれるもの
- トルコの黒海沿岸やネパール、インドなどの高地で採取された野生蜂蜜
- ラベル表示のない自家採取蜂蜜や土産物蜂蜜
日本の市販蜂蜜はなぜ安全?
日本では、食品衛生法第6条により有毒な蜂蜜の販売は禁止されています。
- 厚生労働省が製造者に対して安全管理を義務付け
- 過去10年以上、日本国内でのグラヤノトキシン検出例なし
つまり、スーパーや通販で販売されている国産蜂蜜は極めて安全ということです。
なお、ハチミツを使う際の注意点や栄養的メリットについては、ハチミツは太る?美容効果は?健康と栄養の観点から徹底解説! も参考になります。
グラヤノトキシン以外の毒素も存在する?
蜂蜜にはまれに他の天然毒素が混入する可能性もあります:
- ピロリジジンアルカロイド(肝毒性)
- アンドロメドトキシン(神経毒)
- チョウセンアザミ毒素
ただし、これらも日本の市販蜂蜜では極めて稀なケースです。
特に注意すべき人は?
- 海外旅行先で蜂蜜を購入する人
- 自宅で野生の巣を採取して蜂蜜を得る人
- 通販や土産で表示のない蜂蜜を入手する人
これらに該当する場合は、摂取前に成分や原産地を必ず確認してください。
また、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌のリスクがあるため蜂蜜全般を与えてはいけません。この点については、赤ちゃんにハチミツはなぜダメなの?安全に与えられる時期とリスクを徹底解説 に詳しい解説があります。
安心して蜂蜜を楽しむためのコツ
- 信頼できるブランドの商品を選ぶ
- 原産国や植物の種類が明記されたものを選ぶ
- 初めての蜂蜜は少量から試す
- 海外品はレビューや成分表示を必ずチェック
- 体調に異変があればすぐに摂取を中止する
まとめ
ハチミツ酔いは、自然由来の植物毒による食中毒の一種です。日本の市販蜂蜜ではほぼ問題になりませんが、海外や野生の蜂蜜を扱う際には注意が必要です。
甘くて栄養豊富な蜂蜜を安全に楽しむために、正しい知識を身につけておきましょう。