白血病は、血液細胞の一種である白血球ががん化し、骨髄や血液中で異常に増殖する血液がんです。この記事では、白血病の種類、症状、発症確率、原因、生存率、治療法について詳しく解説します。
白血病とは
白血病は、骨髄で作られる白血球が異常に増殖し、正常な血液細胞の機能を妨げる血液がんの一種です。白血球は、体内の感染症と戦う重要な役割を果たしていますが、がん化すると、正常な血液細胞の生産が阻害され、様々な症状が現れます。
白血病の種類
白血病は、がん化した白血球の種類や進行の速さによって、主に以下の4つのタイプに分類されます。
- 急性骨髄性白血病(AML):骨髄系の白血球ががん化し、急速に進行するタイプ。
- 慢性骨髄性白血病(CML):骨髄系の白血球ががん化し、ゆっくりと進行するタイプ。
- 急性リンパ性白血病(ALL):リンパ系の白血球ががん化し、急速に進行するタイプ。
- 慢性リンパ性白血病(CLL):リンパ系の白血球ががん化し、ゆっくりと進行するタイプ。
各タイプの白血病では、症状や治療法が異なります。
白血病の症状
白血病の症状は、がんの種類や進行度によって異なりますが、以下のようなものがあります。
- 易疲労感や倦怠感
- 頻繁な感染症
- 発熱
- 体重減少
- 骨や関節の痛み
- 皮下出血や紫斑
- リンパ節腫脹
- 肝臓や脾臓の腫大
ただし、初期段階では無症状のこともあるため、定期的な健診が重要です。
白血病の発症確率と原因
白血病は、日本では年間約1万2千人が新たに診断されています。小児がんの中では最も頻度が高く、全体の約30%を占めています。一方、成人では高齢になるほど発症リスクが上昇します。
明確な原因は特定されていませんが、以下のような要因が発症リスクを高めると考えられています。
- 放射線被曝
- 化学物質への曝露(ベンゼン、農薬など)
- 喫煙
- 遺伝的要因
- ある種の血液疾患(骨髄異形成症候群など)
- ダウン症候群などの染色体異常
ただし、これらのリスク要因があっても、必ずしも白血病を発症するとは限りません。
白血病の生存率
白血病の予後は、がんの種類や進行度、患者の年齢や全身状態によって大きく異なります。米国国立がん研究所のデータによると、白血病全体の5年相対生存率は約65%です。
タイプ別では、以下のような5年相対生存率が報告されています。
- 急性骨髄性白血病(AML):約29%
- 慢性骨髄性白血病(CML):約70%
- 急性リンパ性白血病(ALL):小児で約90%、成人で約40%
- 慢性リンパ性白血病(CLL):約85%
近年の治療法の進歩により、白血病患者の生存期間は大幅に延長しています。特に小児の白血病では、治癒率が大きく向上しています。
白血病の治療法
白血病の治療は、がんの種類や進行度、患者の年齢や全身状態に応じて、以下のような方法が組み合わせて行われます。
- 化学療法:抗がん剤を使用して、がん細胞の増殖を抑制します。
- 造血幹細胞移植:大量の抗がん剤投与後、健康な造血幹細胞を移植して血液細胞を再生させます。
- 分子標的療法:がん細胞に特異的な分子を標的とする薬剤を使用し、がん細胞の増殖を抑制します。
- 免疫療法:患者の免疫力を高める薬剤を使用し、がん細胞への攻撃力を強化します。
- 支持療法:感染症予防や輸血など、治療に伴う合併症を管理する療法です。
これらの治療法を適切に組み合わせることで、白血病の進行を抑え、症状を緩和することが可能です。
白血病は治る?
白血病の治癒率は、がんの種類や進行度、患者の年齢によって異なります。小児の急性リンパ性白血病(ALL)では、約90%の患者が治癒可能とされています。一方、成人の急性骨髄性白血病(AML)では、完治が難しいケースも少なくありません。
慢性白血病の場合、完治は難しいものの、治療によって長期間にわたって寛解(症状が消失し、がんの活動性が低下した状態)を維持することが可能です。
定期的な経過観察と適切な治療を継続することで、多くの患者が質の高い生活を送れるようになっています。ただし、再発のリスクは常にあるため、注意深いフォローアップが必要不可欠です。
白血病は、白血球ががん化する血液がんですが、早期発見・治療により予後の改善が期待できます。症状を見逃さず、定期的な健診を受けることが重要です。また、治療法の進歩により、長期生存が可能になってきています。白血病と診断された場合は、専門医と相談しながら、最適な治療法を選択していきましょう。