「白血病」と聞くと深刻な病気というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、
近年では治療の進歩により、予後の改善や長期生存も期待できるようになっています。
この記事では、白血病の種類・症状・原因・治療法・生存率までをわかりやすく解説し、
ほかの血液がん(悪性リンパ腫・多発性骨髄腫)との違いも紹介します。
結論:白血病は血液のがん。早期発見と適切な治療で完治や長期生存も可能です
白血病は白血球ががん化し異常に増える病気で、早期に発見し、
治療を適切に行うことで十分に回復を目指せる時代になっています。
白血病とは?
白血病は「血液のがん」とも呼ばれ、白血球の細胞ががん化して異常に増殖する疾患です。
白血球は本来、体を守る免疫細胞ですが、がん化すると骨髄や血液中で暴走的に増え、
正常な血液細胞の働きを妨げます。
その結果、貧血、感染症、出血傾向など多彩な症状が出てきます。
白血病の種類
白血病は大きく分けて、以下の4種類に分類されます。
- 急性骨髄性白血病(AML):進行が非常に速く、治療を急ぐ必要あり
- 慢性骨髄性白血病(CML):進行は比較的ゆるやか、長期経過観察が可能なことも
- 急性リンパ性白血病(ALL):小児に多く、高い治癒率が期待できる
- 慢性リンパ性白血病(CLL):高齢者に多く、進行が緩やかなタイプ
それぞれの種類によって治療法や予後が異なるため、正確な診断が非常に重要です。
白血病の主な症状
初期には風邪のような症状や無症状で経過することもあります。
以下のような症状が見られたら注意が必要です。
- 疲れやすい、だるさ
- 発熱や感染症にかかりやすくなる
- 出血しやすくなる(鼻血、歯ぐきの出血、あざなど)
- 体重減少
- 骨や関節の痛み
- リンパ節、肝臓、脾臓の腫れ
白血病の原因と発症リスク
明確な原因はまだ解明されていませんが、以下のようなリスク因子が知られています。
- 放射線や化学物質(ベンゼンなど)への被ばく
- 喫煙
- 遺伝的要因(家族歴、染色体異常など)
- 他の血液疾患(骨髄異形成症候群など)からの移行
ただし、これらのリスクがあるからといって必ず発症するわけではなく、多くは偶発的とされています。
日本での発症頻度
日本では年間約1万2,000人が白血病と診断されています。
小児がんの中では最も多く、全体の約30%を占めます。
成人では高齢になるほど発症率が高まります。
白血病は治るのか?生存率は?
白血病の予後は種類や年齢、治療開始のタイミングによって大きく異なります。
5年相対生存率の目安(米国SEERデータ):
- 急性骨髄性白血病(AML):約29%
- 慢性骨髄性白血病(CML):約70%
- 急性リンパ性白血病(ALL):小児で約90%、成人で約40%
- 慢性リンパ性白血病(CLL):約85%
特に小児ALLでは、近年著しい進歩があり高い治癒率が期待されています。
白血病の治療法
治療はタイプや進行度、年齢、全身状態により選択されます。
- 化学療法:抗がん剤でがん細胞を攻撃(すべての白血病で基本)
- 造血幹細胞移植:正常な造血機能を取り戻すための移植療法
- 分子標的治療:特定の異常分子をピンポイントで狙う新しい治療法
- 免疫療法:免疫の力でがん細胞を攻撃する新しいアプローチ
- 支持療法:症状を和らげる補助的な治療(輸血、感染症対策など)
副作用を抑えた新薬の開発も進み、選択肢は広がっています。
再発と長期管理について
治療によって「寛解(かんかい)」を目指しますが、再発する可能性もあるため、
治療後も定期的な検査・通院が必要です。
慢性白血病の場合は、治療を継続しながら安定した生活を送る「長期共存型のがん」としての治療戦略も確立されつつあります。
関連疾患もチェック(血液がんの種類)
白血病以外の血液のがんとしては、以下の疾患もあります。
それぞれ白血病とは異なる特徴があるため、気になる方はあわせてご覧ください。また、3つの血液がんの違いや特徴をまとめた記事も用意しています。
→ 血液のがんとは?白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の違いと種類をわかりやすく解説
まとめ:白血病は乗り越えられる病気に
- 白血病は白血球ががん化して異常に増える血液のがん
- 種類によって進行や治療方針が異なる
- 初期は風邪のような症状で気づきにくいが、定期的な検査で早期発見が可能
- 小児ALLでは9割近い治癒率もあり、治る可能性が高まっている
- 治療後も再発に備えた長期的な管理が重要
白血病は、かつては「治らない病気」とされていましたが、
いまは「早期発見・正しい治療で乗り越えられる病気」へと変化しています。
不安なときは一人で悩まず、専門の医療機関へ相談してみましょう。