将棋といえば日本の伝統文化のひとつですが、「実はインドが発祥らしい」という話を聞いたことはありませんか?
日本独自のゲームのようでいて、実はルーツをたどると世界との意外なつながりが見えてきます。
この記事では、将棋の起源と日本での広まり、現代にいたるまでの進化をわかりやすく解説します。
結論:将棋の起源はインド。その後アジアを経て日本で独自に進化
将棋のルーツは、6世紀ごろインドで生まれた「チャトランガ」というゲームにさかのぼります。
そこから中国の「象棋(シャンチー)」や朝鮮半島のゲームを経て、日本に伝わったと考えられています。
その後、平安・室町・江戸時代と進化を重ね、今の日本将棋に至ります。
インド発祥「チャトランガ」とは?
チャトランガは、現代の将棋やチェスの祖先にあたるゲームで、もともとは4人対戦型の軍事戦略ゲームでした。
駒の動きや役割も現在の将棋やチェスに似た特徴があり、兵士や象、馬、船(のちのルーク)などの駒が使われていました。
このチャトランガが東西に広がり、東では中国の象棋(シャンチー)、西ではチェスに派生していきました。
将棋が日本に伝わったルート
チャトランガは中国で象棋へと変化し、それが朝鮮半島を経て、平安時代中期(11世紀頃)に日本へ伝わったとされます。
当時の日本では「象戯(しょうぎ)」という漢字表記が使われていました。
日本に入った将棋はその後、独自のルールや駒の形状を取り入れながら、独自進化を遂げます。
平安~室町時代:貴族から武士への広がり
将棋は最初、貴族階級の遊戯として親しまれていましたが、室町時代に入ると武士の間でも人気を博します。
戦国時代の武将たちは、戦略思考の鍛錬や教養として将棋を嗜むことが多かったといわれています。
この頃には「駒を取ったら自分の駒として使える」という、日本将棋特有のルールが定着し始めたとされます。
江戸時代:職業棋士の誕生と庶民への普及
江戸幕府は将棋を公式に保護し、「将棋所(しょうぎどころ)」という役職を設けてプロの将棋指導者を任命します。
この制度のもとで、名人制度が確立し、職業としての「棋士」が生まれました。
また、将棋は町人文化にも広がり、庶民の娯楽としても広く定着します。
囲碁と並び、江戸時代の知的娯楽として親しまれました。
明治以降:メディアと大会の時代へ
明治~昭和初期には新聞社主催の将棋大会が活発に開催され、「名人戦」や「順位戦」などのタイトル戦が制度化されました。
将棋が新聞・雑誌で紹介されることで、より広い層に親しまれるようになります。
大正~昭和の時代には、升田幸三や大山康晴といった歴史的名棋士が登場し、将棋人気は不動のものに。
現代:AIとYouTubeがもたらした新時代
近年ではAIの進化により、「将棋AI」が人間を凌ぐ実力を持つようになり、戦術研究がかつてないほど進化しました。
また、藤井聡太さんのような若きスター棋士の登場で、子どもや女性など新しい層のファンも増えています。
YouTubeやAbemaTVなどで将棋が簡単に視聴できるようになり、かつてないほど将棋は身近な存在になっています。
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まとめ
将棋はインド発祥の「チャトランガ」をルーツに持ち、中国・朝鮮半島を経て日本で独自に進化した知的遊戯です。
平安時代の貴族から江戸時代の庶民、現代のAIとネット社会に至るまで、時代ごとの特徴とともに発展してきました。
単なる遊びではなく、日本文化の奥深さを映す鏡とも言える将棋。
その歴史を知ることで、今までとは違った視点で将棋を楽しめるようになるかもしれません。