糖尿病は日本国内だけで1,000万人以上が抱えているとされる、非常に身近で深刻な生活習慣病です。
放置すると合併症により視力や腎臓、神経、さらには命にも関わる重大な疾患に進行することもあります。
この記事では、糖尿病の種類、原因、症状、合併症、治療法までを網羅的にわかりやすく解説します。
結論:糖尿病は「血糖値を下げる力が弱くなる」病気
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(=血糖)が慢性的に高くなる病気です。
私たちの体は通常、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって血糖値を適切にコントロールしています。
しかし糖尿病になると、このインスリンの働きが不十分になり、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
主な糖尿病の種類と原因
糖尿病には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
1型糖尿病
- 原因:自己免疫の異常により膵臓がインスリンをほとんど作れなくなる
- 発症年齢:小児〜若年層が多いが全年齢で発症可能
- 特徴:突然発症しやすく、インスリン注射が必須となる
2型糖尿病
- 原因:食べ過ぎ・運動不足・肥満・ストレス・遺伝など
- 発症年齢:中高年に多いが、若年層でも増加傾向
- 特徴:生活習慣の影響が大きく、初期は無症状で気づきにくい
中でも2型糖尿病は、日本における糖尿病患者の90%以上を占めており、まさに「現代病」と言える存在です。
初期の症状と気づきにくさ
糖尿病は初期には自覚症状が出にくいため、発見が遅れることもあります。代表的な症状は以下の通りです。
- 異常なのどの渇き(口渇)
- おしっこの回数・量が増える(多尿)
- 理由のない体重減少
- 体のだるさ・疲れやすさ
- 視界がぼやける(血糖値の影響で眼球内にむくみ)
これらは見過ごされやすいため、年に一度は健康診断を受け、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)の数値を確認することが重要です。
放置するとどうなる?糖尿病の合併症
糖尿病を治療せず放置してしまうと、以下のような深刻な合併症に進行します。
- 糖尿病網膜症:失明の原因にもなる眼の合併症
- 糖尿病腎症:腎不全により人工透析が必要になるケースも
- 糖尿病神経障害:手足のしびれ、痛み、感覚異常
- 動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中:血管への負荷が大きくなり全身にリスクが広がる
これらは「糖尿病の三大合併症」と呼ばれ、生活の質を大きく損なうため、早期治療が何より大切です。
糖尿病の治療方法
糖尿病の治療は、病状の進行度やライフスタイルに応じて次の4つを組み合わせて行います。
1. 食事療法
糖質・脂質・たんぱく質のバランスを見直し、血糖値を安定させる食生活を心がけます。
糖質に関する誤解が多い方には、糖質と糖分の違いとは?似ているようで違う仕組みをわかりやすく解説もおすすめです。
2. 運動療法
有酸素運動(ウォーキング・自転車など)を定期的に行うことで、インスリンの働きを改善します。
3. 薬物療法
経口血糖降下薬や、必要に応じてインスリン注射を用います。医師の判断のもと、個別に治療方針が決まります。
4. 自己管理(セルフモニタリング)
血糖値や食事記録を日々確認し、自分の状態を把握する習慣をつけます。
糖尿病と腎臓の関係にも注意
糖尿病腎症は、進行すると「透析」を必要とする深刻な状態になります。
腎臓に関心のある方には、プロテインは腎臓に悪いって本当?適量や正しい摂取法をわかりやすく解説!の記事も参考になります。
まとめ:糖尿病と正しく向き合えば怖くない
糖尿病は「放っておくと危険」な病気ですが、「正しく理解し、生活習慣を見直すことで管理できる」病気でもあります。
日々のちょっとした意識と行動が、10年後・20年後の健康を大きく左右します。
まずは今日から、食事や運動、検診への意識を高めて、糖尿病を「知ること」から始めてみてください。