「肝臓は沈黙の臓器」と呼ばれるのをご存知でしょうか?普段あまり意識しない肝臓ですが、実は体内で極めて多くの役割を担っています。そして、症状が出にくいまま病気が進行することも少なくありません。
ここでは、肝臓の基本的な働きから、病気の原因・予防策までをわかりやすく解説します。脂肪肝や肝疾患に関心のある方も、ぜひ全体像を把握する参考にしてください。
肝臓は体内の「代謝と解毒の総合工場」
肝臓は体内最大の臓器で、約1.2〜1.5kgの重さがあります。その主な役割は以下の通りです。
- 栄養素の代謝と貯蔵
- 食事から摂った糖・脂質・たんぱく質をエネルギーとして利用できる形に変換
- 余った糖をグリコーゲンとして一時貯蔵
- 有害物質の解毒・分解
- アルコールや薬物、老廃物を分解して無害化
- 胆汁の生成
- 脂肪の消化を助ける胆汁を毎日生成
- 血液成分の調整
- 血液凝固因子の合成や、免疫物質の一部も作る
このように、肝臓は生命維持に欠かせない極めて多機能な臓器です。
肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれる理由
肝臓の病気は気づきにくく、進行するまで症状が出にくいのが特徴です。
- 肝臓には痛覚神経がほとんどない
- 大きな予備能力があり、機能低下がかなり進むまで自覚症状が現れにくい
倦怠感・食欲低下・黄疸などが出た時には、すでに重症化しているケースも珍しくありません。
肝疾患の進行イメージ
肝臓の病気は段階的に進行していきます。
- 脂肪肝(肝臓に脂肪が蓄積)
- NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
- 炎症や線維化が進行
- 肝線維症 → 肝硬変
- 硬く萎縮し、肝機能が低下
- 肝がん
初期段階での生活習慣の見直しが極めて重要です。
肝臓を悪くする生活習慣とは?
日々の生活習慣が肝臓に負担をかけることがあります。
- 高糖質食・過食
- 脂肪肝の最大要因。
→ 中性脂肪が正常でも脂肪肝?その理由と見逃しがちな原因をわかりやすく解説
- 脂肪肝の最大要因。
- 運動不足・筋肉量低下
- 筋肉が減ると脂肪を燃やせなくなる
→ やせ型脂肪肝の原因とは?痩せていても脂肪肝になる理由を解説
- 筋肉が減ると脂肪を燃やせなくなる
- 過度の飲酒
- アルコール性脂肪肝・肝炎のリスク
- 睡眠不足・ストレス
- 代謝やホルモンバランスの乱れ
健康な肝臓を守る生活習慣
肝臓の病気は予防が何よりも大切です。今日からできる対策は以下の通りです。
- 食生活の改善
- 糖質のとりすぎを控え、たんぱく質・食物繊維をしっかり
- オメガ3脂肪酸(青魚・えごま油)を取り入れる
→ バナナとヨーグルトは脂肪肝に効果がある?栄養面から徹底解説
- 適度な運動
- 週150分程度の有酸素運動+筋トレで筋肉量を維持
- 適正体重をキープ
- 内臓脂肪・ウエスト周囲径にも注目
- 飲酒量を適切にコントロール
- 定期的な健康診断
- AST、ALT、γ-GTPなど肝機能値の定期確認
まとめ
- 肝臓は非常に多機能で重要な「沈黙の臓器」
- 食生活・運動・飲酒・睡眠が肝臓の健康に直結する
- 脂肪肝の段階で生活改善すれば多くは改善可能
日々の生活を見直すことが、肝臓の負担軽減につながります。今は特に症状がなくても、早めのケアを始めることが何よりの肝臓対策です。