杉玉とは
杉玉は、酒屋の軒先や暖簾に吊るされる装飾物で、緑色の丸い球体が連なった姿が特徴的です。球体は杉の葉で作られており、大きさは直径15〜20cmほど。色は新しいものは鮮やかな緑色ですが、時間が経つにつれ茶色へと変化していきます。
杉玉の由来
杉玉の起源は諸説ありますが、有力なのは以下の2つの説です。
杉の防腐・防虫効果
杉は防腐・防虫効果が高い木材として知られています。昔の酒屋は、大切な商品である酒を虫や劣化から守るために、杉の葉を使って玉を作り、店先に吊るしたと言われています。
目印としての役割
酒屋は、江戸時代には「酒株」という特権を持つ特別な店でした。杉玉は、その特権を持つ酒屋の目印として使われたという説もあります。当時の庶民にとって、杉玉は酒屋を識別する重要なシンボルだったのです。
杉玉の色の変化の理由
杉玉の色が新しいものは緑色で、古くなると茶色に変化するのはなぜでしょうか。実は、これには酒屋の商売の仕組みが関係しています。
酒屋は、新しい酒ができると、それを知らせるために新しい緑色の杉玉を吊るします。そして、季節が変わり新酒が売り切れると、古い茶色の杉玉に交換するのです。つまり、杉玉の色は、酒屋にある酒の新旧を示していたのです。
現代における杉玉の役割
現代では、杉玉は酒屋の伝統的な装飾として受け継がれています。防腐・防虫効果よりも、酒屋のシンボルとしての意味合いが強くなっているようです。また、緑色から茶色への変化も、必ずしも酒の新旧を示しているわけではなくなりました。
しかし、日本の風景に欠かせない杉玉の姿は、今も変わらずに私たちを楽しませてくれています。酒屋を訪れた際には、ぜひその由緒ある意味を思い出してみてください。