「痩せ型なのに脂肪肝と診断された」「太っていないから安心していたのに、なぜ?」——そんな戸惑いを抱える方は少なくありません。脂肪肝は「太った人の病気」と思われがちですが、実は痩せていても脂肪肝になるケースは十分にあります。
この記事では、痩せ型でも脂肪肝になる原因、そのメカニズム、予防・改善策までをわかりやすく解説します。
そもそも脂肪肝とは?
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積している状態です。肝臓の約5%以上に脂肪がたまると脂肪肝と診断されます。進行するとNASH(非アルコール性脂肪肝炎)から肝硬変、さらに肝がんへ進行する危険もあるため、体型に関わらず注意が必要です。
脂肪肝の基本的な仕組みや進行リスク、治療法については
脂肪肝の原因と治療法を徹底解説
で詳しく紹介しています。
痩せ型脂肪肝の4大原因とは?
1. 内臓脂肪が多い「隠れ肥満型」
一見スリムでも内臓脂肪が多く蓄積している人がいます。
- 運動不足や座りっぱなしの生活習慣
- 高糖質な食生活(お菓子・パン・ジュースなど)
- 内臓周囲の脂肪が肝臓にもたまりやすい
BMIが正常でもウエストサイズが大きい人は特に注意が必要です。
2. 筋肉量の不足(サルコペニック肥満)
筋肉量が不足すると、脂肪を燃焼する代謝機能が低下します。
- 筋肉は脂肪をエネルギーとして消費する「代謝の工場」
- 筋肉が少ないと基礎代謝が低くなり脂肪が蓄積しやすくなる
- 日本人はこの「サルコペニック肥満」に陥りやすい体質を持つ人が多い
筋肉不足による脂肪肝について詳しくは
中性脂肪が正常でも脂肪肝?その理由と見逃しがちな原因をわかりやすく解説
でも解説しています。
3. 高糖質・低たんぱくの食生活
体重が軽くても糖質中心の偏った食事が脂肪肝を招きます。
- 主食中心、野菜やたんぱく質が少ない食事
- インスリン抵抗性が進行しやすい
- お菓子・パン・甘い飲み物のとりすぎに要注意
糖質過多と脂肪肝の関係は
脂肪肝の原因と治療法を徹底解説
にも詳しくまとめています。
4. 遺伝的体質・ホルモンバランスの影響
日本人は欧米人に比べて、脂肪が肝臓に蓄積しやすい体質を持つ人が多いとされています。
- 遺伝的にインスリン感受性が低い傾向
- 女性は更年期などホルモンバランス変化でもリスク上昇
体質的要因も痩せ型脂肪肝の背景に関わります。
「太っていないから大丈夫」は危険サイン
以下のような特徴が当てはまる人は、BMIが正常でも脂肪肝リスクが高くなります。
- ウエストが太い(男性85cm以上、女性90cm以上)
- 運動習慣がない
- 食事時間が不規則・夜食が多い
- 甘いものや炭水化物中心の食生活
- 睡眠不足・睡眠の質が悪い
体重計の数字だけで油断してしまわず、生活習慣全体を見直すことが重要です。
改善・予防の具体策
① 適度な運動習慣
- ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動
- 筋トレやスクワットで筋肉量アップ
- 週150分程度(1日30分×週5日)が目安
② 食生活の見直し
- 白米・パンを減らし、雑穀・野菜・魚を増やす
- 糖質中心からたんぱく質中心の食事へシフト
- 食物繊維やオメガ3系脂肪酸も積極的に摂取
脂肪肝改善に役立つ具体的な食材選びは
バナナとヨーグルトは脂肪肝に効果がある?栄養面から徹底解説
でも紹介しています。
③ 定期的な健康診断
- AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能数値を定期的に確認
- 早期発見・早期対策がカギ
④ 体脂肪計を活用して内臓脂肪も管理
体重だけでなく、内臓脂肪・筋肉量・基礎代謝も測定できる体組成計があると便利です。
まとめ
- 痩せていても脂肪肝になる可能性は十分にある
- 隠れ肥満・筋肉不足・糖質過剰・遺伝体質が主な要因
- 改善のカギは「生活習慣の質」
体型だけで油断せず、運動・食事・睡眠を総合的に整えることが健康な肝臓を守る最大のポイントです。気になる方は一度、検査と生活習慣の見直しを始めてみましょう。