火災や災害の現場で活躍する「消防」。その中には、職業として働く消防職員と、地域の一員として支える消防団員の2つの存在があります。
どちらも大切な役割を担っていますが、実は働き方や身分、責任の範囲には大きな違いがあります。
この記事では、消防団員と消防職員の違いを、わかりやすく整理してご紹介します。
消防団員とは?地域を支える“もう一つの消防”
消防団員は、地元に暮らす一般市民が、自主的に参加して活動する非常勤の公的組織です。
平日は別の仕事をしていて、災害時や訓練、行事のときに出動する「地域の守り手」といえる存在です。
消防団員の主な特徴:
- 本業を持ちながら、地域貢献として消防活動に参加
- 給料はなく、活動ごとにわずかな手当が支給
- 地元の地理や住民に詳しく、初期消火や避難誘導で力を発揮
- 防火啓発・防災訓練など、平時の活動にも積極的に関与
地域の消防団員は、いざというときに誰よりも早く駆けつける「ご近所のヒーロー」として、多くの地域で頼りにされています。
消防職員とは?専門知識を持つプロの消防士
一方、消防職員は、自治体に所属する地方公務員として、毎日消防に専念している「プロの消防士」です。
常に訓練と待機を重ね、火災・救助・救急といった幅広い任務に対応しています。
消防職員の主な特徴:
- 消防署に勤務するフルタイムの専門職
- 消防士採用試験を経て、給与を受け取る公務員
- 高度な知識・技能・装備で、大規模な災害や救助に対応
- 火災調査・救急搬送・防火査察など、業務の幅が広い
消防職員は24時間交代制の勤務体制をとり、いつでも迅速に現場へ駆けつける準備を整えています。
消防団員と消防職員の違いを比較してみよう
項目 | 消防団員 | 消防職員 |
---|---|---|
所属 | 各市町村の消防団 | 市町村の消防本部(消防署) |
身分 | 非常勤の特別職公務員(報酬ありのボランティア) | 常勤の地方公務員 |
収入 | 手当程度の報酬 | 定期的な給与あり |
主な活動 | 消火補助・地域防災・訓練参加 | 消火・救助・救急・調査など全般 |
平時の仕事 | 会社員、農業、自営業など | 消防業務に専従 |
こうして見ると、働き方も活動範囲も大きく異なっていることがわかります。
2つの「消防」が協力する理由
消防職員と消防団員は、それぞれの特性を活かして連携しながら地域を守るチームです。
- 消防団員は地域密着型。地元に詳しく、初期対応に強い
- 消防職員は専門技術型。消火・救助・救急の総合力に優れる
たとえば、火災現場では、消防団がすぐに駆けつけて初期消火を開始し、到着した消防職員が本格的な鎮火作業を引き継ぐこともあります。
また、災害時には人手が必要な現場で、消防団が貴重な支援戦力になります。
まとめ:地域を守る2つの力、それぞれに敬意を
消防団員と消防職員は、ボランティアと専門職という違いこそあれ、どちらも「人の命と地域を守る」という強い使命感を持って活動しています。
- 消防団員は、地域に根ざした自発的な“もう一つの消防”
- 消防職員は、専門技術で昼夜問わず活動するプロの消防士
- 両者の連携によって、地域の安全がより強く支えられている
火事や災害が起きたとき、真っ先に駆けつけるその姿には、誰もが感謝すべき価値があります。
そして私たちも、防災意識を高めたり、協力できる場面では行動したりと、地域の一員としてできることを考えていきたいですね。