2025年5月15日、鹿児島県の桜島・南岳山頂火口で噴火が発生しました。噴煙は火口縁上3,000mに達し、風下の鹿屋市輝北方面へと火山灰が流れました。今回の噴火は、12日夜から続いていた山体膨張が背景にあるとされ、今後も大規模な噴火が懸念されています。
この記事では、こうした桜島の噴火を正しく理解するために、「なぜ噴火するのか」「どのくらいの頻度か」「最大被害の想定」「人体や生態系への影響」について、わかりやすく解説します。
桜島はなぜ噴火するのか?
桜島は、地下に蓄積されたマグマが上昇し、圧力が限界に達したときに噴火します。とくに南岳山頂火口や昭和火口は活発で、マグマの供給源である姶良(あいら)カルデラとの連動が指摘されています。
地震活動や地殻変動(山体の膨張)、火山ガスの増加などが噴火の前兆として観測されます。今回も12日夜から傾斜計や伸縮計で山体の膨張が観測されており、これが一気に解消される形で噴火が発生しました。
より詳しい噴火予測の仕組みについては、以下の記事も参考になります:
どのくらいの頻度で噴火しているのか?
桜島は「ほぼ毎年噴火している」と言えるほど活動的です。特に1955年以降は常時活動状態にあり、2010年代には年間1,000回を超える噴火もありました。
2020年代以降は比較的静穏な時期もありましたが、2025年5月現在、再び山体膨張を伴う活動が顕著になっています。
予測される最大規模と被害の想定
最大噴火の可能性
桜島では、約1,000年前に大規模な「サマービッグバースト」とも呼ばれる噴火があり、これはVEI(火山爆発指数)で4~5規模とされます。これに匹敵する噴火が将来再発すれば、以下のような被害が想定されます。
- 広範囲への降灰
- 九州一円~四国や中国地方まで達する可能性
- 火砕流の発生
- 島内全域および海峡を越えた本土側にも到達の恐れ
- 避難対象の拡大
- 現在の避難範囲(概ね半径3km以内)を超え、鹿児島市中心部や空港周辺まで影響
こうした広域被害の可能性については、以下の記事でも紹介しています:
噴煙や火山灰は人体や生態系に影響はあるのか?
噴煙や火山灰には次のようなリスクがあります。
- 呼吸器への影響
- 微細な火山灰(PM2.5に近い成分)が気道を刺激し、喘息や気管支炎を悪化させる
- 視界不良と交通障害
- 灰が積もると視界不良になり、道路標識やセンターラインが見えにくくなる
- 農業・水質への影響
- 灰が作物に付着して商品価値が下がる、水田やダムに堆積して水質悪化の原因にもなる
- 家畜・野生生物への影響
- 草食動物が火山灰を含んだ草を食べることで健康被害を受けるケースも報告あり
屋外での活動が避けられない場合は、マスク・メガネ・帽子の着用が推奨されます。
今後の注意点と私たちにできる備え
桜島では現在も「噴火警戒レベル3(入山規制)」が継続されています。気象庁の降灰予報や自治体の避難情報をこまめにチェックし、以下のような備えを心がけましょう。
- 外出時は火山灰対策(マスク・ゴーグル)を徹底する
- 降雨後の土石流(ラハール)にも注意する
- 常に避難経路・避難所を確認しておく
- 自動車はヘッドライトをつけ、徐行運転を徹底する
火山との共生は、私たち日本人にとって避けられない課題です。正しい知識と日頃の備えが、安全な暮らしを守る鍵となります。
まとめ
桜島は、日本で最も活発な火山の一つです。今回のような中規模噴火は日常的に発生していますが、山体膨張が続いている今、将来的な大規模噴火への備えが求められます。
火山灰のリスクや人体・自然への影響も踏まえ、常に最新の火山情報に目を向け、柔軟に行動できるようにしておきましょう。