「もし飛行機のドアが空中で開いたら、吸い込まれる?」「窓が割れたらすぐ気絶するって本当?」
飛行機に乗っているとき、ふと頭をよぎるそんな疑問。映画やドラマでは、ドアが開いた瞬間に人が吹き飛ばされたり、酸素マスクが落ちてきたりするシーンもありますよね。
でも実際にそんなことが起きたら、機内の人間はどうなるのでしょうか?
この記事では、
- 飛行機のドアや窓は本当に開くのか?
- 開いたら何が起きるのか?
- 意識を失う理由やその時間
- なぜ飛行機の機内は安全に保たれているのか
について、航空工学と生理学の視点からわかりやすく解説します。
結論:上空ではドアも窓も開かない。でも仮に開いたら、数秒で意識喪失の可能性あり
- 高度1万メートルの上空では、外の気圧と機内の気圧差が大きすぎてドアは物理的に開かない
- 万が一窓が割れると、減圧による急激な空気の流出で“ハイジャック映画”のような事態が起こりうる
- 意識がなくなるのは本当。わずか10〜20秒で酸欠による意識消失の可能性も
- ただし、航空機はあらゆる緊急事態を想定して設計されており、すぐに酸素マスクが作動する仕組みになっています
上空で飛行機のドアは開くのか?結論:絶対に開きません
まず安心していただきたいのは、飛行中のドアは絶対に開かないということ。
なぜ開かないのか?
飛行機の客室は「与圧(よあつ)」されており、地上に近い気圧に保たれています。
しかし、外は高度1万メートルで気圧は地上の約4分の1以下。この圧力差により、ドアには数トン単位の外向きの力がかかっているのです。
つまり、乗客や乗員がドアを引っ張っても、構造的に開けることは不可能です。
パイロットでも開けられない
コックピットにも物理的にドアを開けるスイッチなどはありません。
地上でしか作動しない設計になっているため、映画のように“誤操作でドアが開く”ことはあり得ません。
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では、窓が割れたらどうなる?
実際に起こり得るとすれば、窓や機体の一部が損傷して与圧が失われる事故(=減圧)です。
減圧が起きたときの主な影響
- 空気が一気に外へ流れ出る
- 機内の霧のような白い煙(空気中の水分が凝結)
- 酸素濃度が低下し、10〜20秒以内に意識を失うこともある
- 耳が痛くなったり、鼓膜が破れたりする可能性も
実際に起きた事例
過去には、航空機の窓枠の破損で乗客1人が機外に吸い出される事故(2018年、サウスウエスト航空)がありました。
非常にまれな事態ですが、万が一に備えて酸素マスクは自動で作動するようになっています。
意識がなくなる理由:低酸素症(ハイポキシア)
高度1万メートルでは、酸素分圧が地上の約4分の1程度。
この環境に急にさらされると、人間の体は以下のような反応を起こします。
- めまい、手足のしびれ
- 判断力の低下
- 呼吸困難
- 10〜20秒で意識消失(個人差あり)
パイロットはこの状態をシミュレーターで訓練していますが、一般人はほとんど耐えられません。
減圧時の安全対策:航空機の設計と酸素マスクの役割
減圧事故が起きた場合、飛行機は即座に以下の対応を取ります:
- 酸素マスクが自動で降下
- パイロットが急降下して低高度へ移行
- 機体内の警報や自動制御システムが作動
これらの対応により、機内全体の安全が確保される仕組みになっています。
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実際にそんなこと起きるの?確率と現実
減圧事故の発生率は、数百万フライトに1件あるかないかという極めて稀なものです。
航空機の設計は常に二重三重の安全対策が施されており、一般の旅客機でこうした事態が起こることはほとんどありません。
それでも万が一に備えて訓練・整備が行われているのが、現代の航空業界のすごさです。
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まとめ:上空でドアや窓が開く心配はない。でも、仮に開いたら数秒で危険
- 飛行中のドアや窓は開かない設計
- もし破損して減圧が起きれば、数秒で酸欠状態に
- 酸素マスクや急降下による対応で安全は確保される
- 航空機の安全対策は世界でも最高レベル
映画のようなシーンは現実では起こりにくいとはいえ、「飛行機って本当にすごい設計なんだ」と感じてもらえると嬉しいです。