「血液のがん」とは、血液や骨髄、リンパ系などの造血組織に発生するがんの総称です。
一見、体のどこにできるのか分かりづらいがんですが、早期発見と適切な治療によって予後が大きく改善されるケースも増えています。
この記事では、血液のがんに含まれる白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の違いや種類、そして最近注目されている骨髄異形成症候群(MDS)との関係まで、わかりやすく整理してご紹介します。
血液のがんとは?
「血液のがん」は、以下のような造血器に関わるがんを総称する言葉です。
- 白血球や赤血球、血小板のもとになる細胞ががん化した「白血病」
- 免疫を担うリンパ球ががん化する「悪性リンパ腫」
- 抗体を作る形質細胞ががん化する「多発性骨髄腫」
これらに加えて、最近では骨髄の造血能力そのものが低下する「骨髄異形成症候群(MDS)」にも注目が集まっています。MDSは一部が白血病に進行することもあるため、“血液のがん”と深い関連を持つ疾患とされています。
いずれの病気も、全身に症状が及びやすく、初期は風邪や体調不良と見分けがつきにくいのが特徴です。
主な血液がんと骨髄異形成症候群の違い
疾患名 | がん化する細胞 | 主な症状 | 発症年齢 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
白血病 | 白血球のもとになる造血幹細胞 | 発熱、出血、感染症、貧血、倦怠感など | 年齢問わず(小児〜高齢者) | 骨髄や血液にがん細胞が広がる |
悪性リンパ腫 | リンパ球(B細胞・T細胞) | リンパ節腫脹、発熱、寝汗、体重減少など | 中高年に多い | リンパ節や臓器に腫瘍を作るタイプも |
多発性骨髄腫 | 形質細胞(抗体を作る) | 骨の痛み、貧血、腎障害、感染症など | 高齢者中心(60歳以降) | 骨や腎臓などに影響しやすい |
骨髄異形成症候群 | 血液をつくる骨髄幹細胞 | 貧血、出血傾向、感染症、倦怠感 | 高齢者に多い | 一部が白血病に進行。造血不全が主な問題 |
※ 骨髄異形成症候群は、WHO分類上「骨髄系腫瘍」とされ、造血器腫瘍(血液のがん)の一種として分類されます。
詳しく知りたい方はこちら
それぞれの病気について、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 白血病とは?症状・原因・治療法・生存率までわかりやすく解説
→ 悪性リンパ腫とは?症状・原因・治療法・生存率をわかりやすく解説
→ 多発性骨髄腫とは?症状・原因・治療法・生存率をわかりやすく解説
→ 骨髄異形成症候群とは?症状・原因・治療法・生存率をやさしく解説【血液のがん】
各記事では、原因・検査・治療法・最新の薬剤まで詳しく紹介しています。
血液のがんが疑われるときは?
次のような症状が長引いている場合は、血液のがんの可能性も考えられます。
- 発熱が続く
- 原因不明の倦怠感や貧血
- リンパ節の腫れがなかなか治らない
- 骨の痛みや腰痛が続く
- 出血しやすい、アザができやすい
- 風邪が長引く、感染症が治りにくい
こうした症状がある場合は、まずは血液検査を受け、必要に応じて血液内科の受診をおすすめします。
まとめ
- 血液のがんは「白血病」「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」に加え、「骨髄異形成症候群(MDS)」も関連疾患として重要
- 初期症状は重なりやすいため、正確な診断が不可欠
- 早期発見によって治療の選択肢が広がる
- 疑わしい症状がある場合は、早めの検査・受診を