「なんだか最近、動悸が激しくて汗もひどい。疲れやすくて落ち着かない……」
そんな体調不良が続いて、検査の結果「バセドウ病」と言われたら、誰でも不安になりますよね。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患の一つです。
「完治しない病気なんじゃないの?」「ずっと薬を飲み続けないといけないの?」と心配になるかもしれません。
この記事では、バセドウ病の主な症状、原因、治療法、そして“本当に治るのか”という疑問に医学的な根拠を交えてお答えしていきます。
バセドウ病とは?甲状腺ホルモンが暴走する病気
バセドウ病(英語ではGraves’ disease)は、甲状腺が過剰にホルモンを作ってしまう病気です。甲状腺は首の前側にある小さな臓器ですが、体の新陳代謝をコントロールする重要な役割を担っています。
バセドウ病になると、この甲状腺ホルモンが過剰になり、体が“常にフルスロットル”状態になります。
どんな症状が出るの?
以下のような症状が代表的です:
- 動悸や頻脈(心臓が速くなる)
- 発汗が増える、暑がりになる
- イライラ、不眠、不安感
- 手の震え(振戦)
- 疲れやすい、筋力低下
- 体重減少(食べていても痩せていく)
- 眼球突出(目が出るように感じる)…重症化した場合
- 月経異常や不妊の原因にも
これらは「交感神経が常に興奮しているような状態」に近いと考えるとイメージしやすいかもしれません。
バセドウ病の原因とは?
バセドウ病は「自己免疫疾患」の一種です。
つまり、本来は外敵(ウイルスなど)を攻撃するはずの免疫が、自分の甲状腺を攻撃し、“刺激”してしまうことで、ホルモンが大量に作られてしまうのです。
この自己免疫反応の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下がリスク因子として知られています:
- 遺伝的な素因(家族歴がある)
- ストレス
- 喫煙
- 妊娠や出産後のホルモン変動
バセドウ病は「治らない」って本当?
結論から言うと、「治療によって治ることは十分可能」です。
ただし、「風邪のように数日で完全に治る病気」ではなく、中長期的に付き合いながら治療を進める必要がある病気です。
主な治療法は以下の3つです:
- 薬物療法(抗甲状腺薬)
- 最初に選ばれる治療。2〜3年の内服で治る人も多い。
- ただし再発もあるため、定期的な検査が重要。
- 放射線治療(アイソトープ治療)
- ヨウ素131という放射性物質を服用して甲状腺の活動を抑える。
- アメリカなどでは第一選択になることも。
- 手術(甲状腺の一部または全部を摘出)
- 他の治療が効かない場合や再発を繰り返す場合に選ばれる。
- 術後は甲状腺ホルモンの補充が必要。
実際はどれくらいの人が治っているの?
抗甲状腺薬だけでも、約5割前後の患者が寛解(再発なしの状態)に至るというデータがあります。
また、アイソトープ治療や手術を行った場合、治療効果はより確実で再発率も低下します。
つまり「バセドウ病は一生治らない病気」と思う必要はありません。
生活上の注意点は?
バセドウ病は治療と並行して、生活習慣にも気を配る必要があります。
- 喫煙は再発リスクを高めるため避けるべき
- 強いストレスや過労も症状を悪化させる可能性がある
- 高温のサウナなど、体温を急激に上げることは避けた方がよい
- 妊娠を考えている場合は、主治医とよく相談すること
まとめ
バセドウ病は確かに厄介な病気ですが、適切な治療を受けることで日常生活を問題なく送ることができます。
「治らない」と悲観せず、医師と連携して治療を続けることが大切です。
気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。