飛行機に乗っているとき、モニターに「外気温−52℃」などと表示されていて、
「えっ、そんなに寒いの?」と驚いたことはありませんか?
この記事では、
- 飛行機の外の気温は実際にどれくらいなのか?
- もし飛行中に機外に出てしまったら何が起きるのか?
- なぜそんな過酷な環境なのに飛行機は飛べるのか?
といった疑問にわかりやすくお答えしていきます。
結論:飛行機の外は−50℃以下!気圧も低く、数十秒で命の危険に
- 巡航高度の外気温は氷点下50〜60℃
- 気圧は地上の約1/3以下
- 酸素不足+極寒+低圧=生身の人間が出たら数十秒で危険
飛行機の外は、まさに地球上でも指折りの過酷環境なのです。
飛行機の外の気温はどれくらい?
商業機が飛ぶ高度はおよそ9,000〜12,000メートル(通称「巡航高度」)。
この高さでは、国際標準大気(ISA)に基づき、高度1,000mごとに約6.5℃ずつ気温が下がるとされています。
✈ 例:地上が20℃の場合…
- 高度10,000mでは
→ 20℃ −(6.5℃ × 10)=−45℃
しかし、実際には大気の状態によっては−50℃〜−60℃まで下がることもあり、
機内モニターで「−55℃」と表示されるのも決して珍しくありません。
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もし外に出てしまったら?生存は極めて困難
飛行中に万が一、機外に出てしまったら、どうなるのでしょうか?
結論から言うと、生身の人間が生き延びられる環境ではありません。
危険①:低気温による急速な体温低下
- 氷点下50℃では数分で低体温症に陥る
- 衣服があっても、防寒仕様でなければ体の末端から感覚が消えるレベル
危険②:気圧の低下による意識喪失
- 高度10,000mでは気圧が地上の約3分の1程度
- 酸素濃度も薄くなり、15〜30秒で意識を失う
- 専門用語では低酸素症(ハイポキシア)と呼ばれます
危険③:低圧による体内ガスの膨張や肺損傷
- 耳や肺に圧力差がかかり、鼓膜や肺が損傷する恐れ
- 一気に外に放出された場合、血中のガスが気泡化して致命的
実際に起きた「機外死亡事故」の例
2019年、ロンドンの住宅街で、飛行機の着陸装置から落下した男性の遺体が発見されました(BBC報道より)。
この男性は、ケニアからロンドンに向かう機体のランディングギア内に密航し、極寒と低圧に耐えきれず死亡したとされています。
航空機の車輪格納庫に密航者が侵入し、命を落とすケースは過去にも多数報告されており、ほとんどが離陸後1時間以内に死亡しています。
機内はなぜ快適なの?与圧と温度調整の仕組み
飛行中でも私たちが快適に過ごせるのは、機内がしっかり「与圧」されているからです。
- 航空機の機体は内部の空気圧を一定に保つ構造
- 多くの機種では、高度2,000〜2,500m相当の気圧に保たれている
- エンジンの圧縮空気を使い、温度と気圧を人工的に調整している
このシステムがあるからこそ、
窓の外が氷点下50℃でも、機内は20℃前後で快適に過ごせるのです。
飛行機の外の環境を理解して、技術のすごさを感じよう
空の上は美しく、地上とはまったく違う世界ですが、
その環境は人間の体には過酷すぎる場所でもあります。
だからこそ、私たちが機内で普通に過ごせるのは、
高度な気密設計と制御システム、そして航空技術者たちの努力の結晶によるものです。
次に飛行機に乗るときは、ぜひモニターに表示される外気温に目をやってみてください。
「窓の向こうの世界がどれだけ極限状態か」を知ることで、
あなたのフライト体験が少し変わるかもしれません。
ちなみに、今回のような「外の気温」のほかにも、
「飛行中にドアが開いたら?」「雷が直撃したら?」「墜落の確率って?」
といった疑問をまるごと解消できる記事もご用意しています。
👉 飛行機に関する不安や疑問をまるっと解決!仕組み・安全・環境の豆知識まとめ
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