台風シーズンになると必ず目にする「予報円」。地図の上に描かれた大きな円を見て、「結局どこに来るの?」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、予報円の意味とその大きさの理由、進路が頻繁に変わる原因までをわかりやすく解説します。
予報円とは?

予報円とは、台風の中心が将来どこに進むかを予想した範囲を示しています。気象庁が発表する台風情報で必ず表示されるものです。
- 予報円の中に入る確率
- 予報円は「この範囲に台風の中心が入る確率が70%ある」という意味を持ちます。
- つまり10回中7回は予報円の中に中心が入る、という統計的な範囲。
- なぜ大きく描くのか?
- 確実に当てることは不可能なため、安全側に余裕を持たせている
- 円が大きいのは、過去の予報精度や不確実性を反映している
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進路がコロコロ変わる理由
台風の進路は、常に微妙に修正され続けます。その主な理由は以下の3つです。
- 大気の状態が刻々と変化する
- 台風の進路は周囲の高気圧・低気圧・偏西風などの影響を受ける
- これらの気圧配置が日々変化するため予想も変わる
- 観測データの限界
- 衛星・レーダー・気球・船舶から得られる観測データには空白地域もあり、完全な把握は困難
- 予報モデルにも限界がある
- スーパーコンピューターによる予測でも、全ての微細な大気の動きを計算しきれない
スーパーコンピューターでも限界がある理由
気象庁は世界最先端のスーパーコンピューターを使用していますが、それでも精度に限界があります。
- 初期値の誤差
- 大気の状態を完全に測定できないため、最初の計算条件にわずかな誤差が生じる
- 台風は極めて複雑な現象
- 海面水温・対流・風のシアー・上層の気流など、多くの要素が絡み合う
- 長期予報になるほど不確実性が増す
- 3日先、5日先、1週間先になるほど予報円は拡大していく
予報精度は少しずつ向上している
予報は決して「当たらないもの」ではありません。技術革新により年々精度は向上しています。
- 観測技術の進歩
- 気象衛星・高解像度レーダー・ドローン観測などの新技術が活用
- 計算モデルの改良
- AIや新しい数値予報モデルで精度が上昇
- 計算能力の向上
- スーパーコンピューターの高性能化により計算パターンが増加
10年前と比べると、進路誤差は大幅に小さくなってきています。
予報円は「安全の余裕」として理解する
予報円が大きく見えるのは、不確実性を考慮して「安全マージン」が取られているからです。
- 円の中に入る確率は70%
- 円の外に外れる可能性も常にある
- 油断せず円の外でも警戒は必要
予報円の活用法
- 進路の中心だけに惑わされない
- 予報円の広がりを防災準備の目安に使う
- 最新の予報更新を必ず確認する
👉 台風接近時の防災対策については
台風時の防災対策と備えをわかりやすく解説
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台風の進路がずれると何が起こる?
進路のわずかなずれで、被害の大きさは大きく変わります。
- 暴風域に入る/入らない
- 大雨の集中場所がずれる
- 土砂災害・浸水の危険地域が変わる
👉 暴風そのものの危険性については
強風と暴風の違いは?風速・警報・被害リスクをわかりやすく解説
もあわせて理解しておくと安心です。
台風通過後も注意
台風が過ぎたあとも影響は残ります。気温の変化や火災リスクにも注意しましょう。
気象防災全体の知識を総まとめで学びたい方へ
強風・暴風・台風・予報円・防災対策までをまとめた総整理記事はこちらも参考にしてください。
👉 天気と災害の基礎知識:強風・暴風・台風・警報の違いを総まとめ
まとめ
- 予報円は「台風の中心が入る確率70%」の範囲
- 大きく描かれるのは安全のための余裕
- 進路は常に変化するため最新情報が重要
- スーパーコンピューターでも予報には限界がある
- 正しく理解して防災意識を高めよう
正しく予報円を理解することで、台風への備えがより適切に行えます。過信も軽視もせず、冷静に防災行動を選択していきましょう。