なぜサーモンは昔は寿司に使われなかった?生で食べられるようになった理由と変遷を解説

サーモンの寿司

「今や寿司ネタの定番のサーモン、昔の寿司にはなかったの?」
「なぜ昔はサーモンが寿司で使われなかったの?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?

現代では回転寿司でも高級店でも見かけるサーモンですが、実は昭和の半ばまでは寿司ネタとしてほとんど使われていなかったのです。

この記事では、サーモンが寿司に使われなかった理由、生で食べられるようになった背景、広まったきっかけ、現在の人気の理由をわかりやすく解説します。寿司文化の変化を知る上でも非常に興味深い話です。

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結論:昔は「寄生虫のリスク」が高くて生食できなかったから

サーモンが寿司ネタに使われてこなかった最大の理由は、アニサキスなどの寄生虫のリスクが非常に高かったためです。とくに日本近海の天然のサケ類は、寄生虫が多く生食には向かなかったのです。

現在のサーモン寿司は、主にノルウェー産の冷凍養殖サーモンが使用されており、寄生虫のリスクを適切に管理することで生食が可能になっています。

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昔の日本では「サケは焼き魚」だった

昭和以前の日本では、サケやマスは基本的に焼くか煮る魚でした。お弁当のおかずや、塩鮭など、加熱して食べるのが常識だったのです。

生で食べる魚=「新鮮で寄生虫の心配がない魚」という考えがあり、サーモンは寿司ネタに不適とされていました。

なぜ今では生で食べられるのか?

冷凍技術と養殖の進歩

現在、寿司に使われるサーモンは、

  • ノルウェー産の養殖アトランティックサーモン
  • 24時間以上マイナス20℃以下で冷凍処理されたもの
    が主流です。

これにより、アニサキスなどの寄生虫が死滅し、安全に生で食べられるようになりました。

ノルウェー政府の「寿司戦略」

1980年代、ノルウェーは日本の寿司市場に自国のサーモンを輸出するための戦略を展開しました。「Project Japan」と呼ばれるこのプロモーションでは、寿司職人や消費者に向けて試食会やレシピ開発を行い、「生で食べられるサーモン」という認識を広めました。

このキャンペーンが功を奏し、1990年代には回転寿司を中心に人気が拡大。今では定番ネタの一つとなっています。

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サーモンが人気になった理由

  • 色鮮やかで写真映えする
  • 脂がのっていて、食べやすい味
  • 子どもや外国人にも好まれる

このように、サーモンは視覚的にも味覚的にも万人受けする寿司ネタとして、特に回転寿司チェーンで爆発的に普及しました。

実は「国産生サーモン」も広がっている

近年では、北海道や静岡などでも養殖による国産の生食用サーモンが登場しています。より新鮮で地産地消を意識した取り組みが進んでおり、高級寿司店などでも提供され始めています。

サーモンと寿司文化の変化

サーモンの普及は、寿司が「伝統料理」から「グローバル食」へと変化していく象徴でもあります。

特に、

  • 裏巻き(カリフォルニアロール)など、海外発祥の寿司に合う
  • マヨネーズやアボカドとの相性が良い

といった理由で、寿司の多様化・世界進出に大きく貢献したネタでもあるのです。

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サーモン以外にも、寿司の世界には意外な歴史や深い文化がたくさんあります。トロやガリの由来、寿司の起源を一気に学べるまとめ記事もありますので、ぜひあわせてご覧ください。

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まとめ

サーモンが昔の寿司で使われなかったのは、「寄生虫が怖くて生では食べられなかった」から。日本近海のサケは生食に不向きだったのです。

しかし、冷凍技術や養殖の進歩、そしてノルウェー政府の寿司戦略により、安全に生で食べられるサーモンが日本に登場し、寿司の定番ネタとなりました。

今や世界中で愛されるサーモン寿司ですが、その裏には文化・技術・国際戦略の進化があったのです。

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