朝起きたとき、「全然寝返りを打っていないかも」「何度も寝返りしてた気がする」と感じたことはありませんか?
寝返りをよく打つ人と、ほとんど打たない人には、いったいどんな違いがあるのでしょうか?
また、「寝返りってそもそも必要なの?」「打ちすぎたら睡眠の質が悪いのでは?」と疑問に思う方も多いはず。
この記事では、寝返りにまつわる素朴な疑問に、睡眠科学の観点からわかりやすく答えます。
寝返りは誰でもしている。でも回数は人それぞれ
まず前提として、人は基本的に誰でも寝返りを打っています。
ただし、その回数やタイミングには大きな個人差があるため、「自分は打っていない」と思っていても、実際には気づかないうちに動いていることがほとんどです。
平均的な寝返り回数は、一晩で20〜30回程度。
10回未満の人もいれば、50回以上動く人もいます。
この差は主に以下の要因によって変わります:
- 睡眠の深さやリズム
- 筋力や柔軟性
- 年齢(高齢者は減少傾向)
- 体調や疲労度
- 寝具(マットレス・枕)の状態
- 室温や湿度などの環境
寝返りと睡眠段階の関係
寝返りは、主にレム睡眠や浅いノンレム睡眠のタイミングで起こることが多いです。
深いノンレム睡眠中は、脳も身体も休息モードに入っているため、体の動きは少なくなります。
つまり、寝返りは「睡眠の合間に自然に行われる調整運動」のようなもので、脳が半分覚醒に近づいたタイミングで体を整えるための反応とも言えます。
寝返りのメリット
寝返りには、実はとても大切な役割があります。
- 血流の確保
- 同じ姿勢が続くと血流が滞り、しびれや筋肉の痛みの原因になります。
- 寝返りによって体圧が分散され、血行が維持されます。
- 寝床内の温度・湿度調整
- 人は一晩でコップ1杯分以上の汗をかくといわれています。
- 動かないと蒸れや冷えが起こりやすく、寝返りがその調整に役立ちます。
- 筋肉や関節のストレス軽減
- 同じ部位への圧迫が続くと筋肉や関節に負担がかかります。
- 寝返りは体全体を動かすことで、疲労や痛みを予防します。
- 睡眠の質を保つリズム調整
- 寝返りを通じて、睡眠ステージの切り替えがスムーズになります。
- 自律神経のバランス調整にも関わっています。
寝返りが多すぎる・少なすぎるときの注意点
寝返りの回数が極端な場合は、何らかの要因が潜んでいる可能性があります。
多すぎる場合(50回以上)
- 寝具が体に合っていない(硬すぎ・柔らかすぎ)
- ストレスや不安による中途覚醒
- 睡眠時無呼吸症候群などによる覚醒反応
- 温度や湿度が合っていない寝室環境
少なすぎる場合(ほとんど動かない)
- 高齢による筋力低下・柔軟性の減少
- 長時間同じ姿勢による床ずれリスク(特に介護現場で重要)
- 睡眠が深すぎる(薬やアルコールの影響)
- 筋肉のこわばり・疾患による動作制限
子どもと高齢者の寝返りの違い
子ども:
- 睡眠サイクルが短く、寝返りも多い傾向
- 成長ホルモンの分泌が活発で、寝返りも活発
- 動きが多いのは健康の証とされることも
高齢者:
- 筋力や柔軟性の低下により寝返りが少なくなりがち
- ただし、少なすぎると血流障害や腰痛のリスクがあるため注意
- 体圧分散のある寝具の利用や、柔軟体操の習慣づけも有効
寝返りに適したマットレスとは?
寝返りをスムーズに打てる寝具環境も非常に重要です。
- 体圧分散性が高い(腰・肩などへの圧迫を減らす)
- 反発力が適度にある(押し返しで寝返りがしやすい)
- 沈みすぎず、硬すぎない中間の硬さが理想
- 素材:高反発ウレタン、ラテックス、ポケットコイルなどが人気
枕や敷き布団の見直しも含めて、体に合った寝具を選ぶことが自然な寝返りにつながります。
睡眠環境全体にも注目を
寝返りは寝具だけでなく、部屋の環境にも影響されます。
- 室温:20〜22℃
- 湿度:50〜60%
- 暗さ:完全に暗くするか、間接照明程度
- 騒音:耳栓や遮音カーテンで調整
これらを整えることで、寝返りがスムーズに行われ、結果的に深い睡眠と心地よい目覚めにつながります。
まとめ
- 寝返りは一晩に20〜30回が平均で、誰でも無意識にしている
- 回数には個人差があり、「多い=悪い」「少ない=良い」とは限らない
- 血流・体温調整・筋肉保護・睡眠リズム維持など、寝返りには多くのメリットがある
- 寝返りが多すぎる・少なすぎる場合には、寝具・環境・体調に注目すべき
- 年齢による違いや子どもの特性を理解し、適切な寝具・環境づくりを心がけよう
自分の「眠りのクセ」を知ることは、毎日のコンディションを整える第一歩です。
寝返りという体の自然な動きに耳を傾けて、より快適な睡眠環境を目指してみてください。