ニュースで「書類送検されました」と聞いて、「逮捕されたってこと?」「前科になるの?」「結局どうなるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
2025年5月には、プロ野球・巨人の選手2人がオンラインカジノ賭博の疑いで書類送検されたという報道が話題になりましたが、「書類送検=有罪」と誤解してしまう人も少なくありません。
この記事では、書類送検とは何か?逮捕や起訴、前科との関係は?書類送検されたらどうなるのか?といった疑問を、法律に詳しくない人でもわかるようにやさしく解説します。
書類送検とは?
警察が「事件を検察に送ること」
「書類送検」とは、事件の捜査を終えた警察が、被疑者に関する書類や証拠をまとめて、検察に送ることを指します。
- 法律上の正式名称は「送致」
- 身体を拘束せずに行う送致のことを「書類送検」と言います
よくある誤解
- 「送検」=「逮捕」と思われがちですが、書類送検は逮捕を伴わないケース
- そのため、自宅にいながら送致されることもあります
逮捕とはどう違うのか?
項目 | 書類送検 | 逮捕 |
---|---|---|
身体拘束 | ❌ なし | ✅ あり(身柄拘束) |
拘留・留置 | ❌ 基本なし | ✅ 最大72時間+勾留10〜20日 |
社会的影響 | △ 少なめ | ◎ 高い(報道・仕事停止など) |
よくあるケース | 交通違反、軽微な窃盗、名誉毀損など | 暴力事件、重大事故、逃走の恐れがある場合など |
🎯 書類送検は「任意の捜査協力」で済むレベルの事件が多く、逮捕ほど重大な手続きではありません。
書類送検のあとはどうなる?起訴との関係
- 書類送検されたからといって、必ず起訴されるわけではありません
- 検察官が「起訴するかどうか(裁判にかけるか)」を判断します
起訴の種類
種類 | 内容 |
---|---|
公判請求 | 通常の刑事裁判。有罪か無罪かを争う |
略式起訴 | 比較的軽微な事件。書類だけで罰金などの刑が決まる |
起訴猶予 | 起訴はできるが、情状を考慮して不起訴にする |
前科はつくの?どうなったら前科がつく?
- 書類送検されたこと自体では前科はつきません
- 有罪判決が確定した場合に初めて「前科」となります
状態 | 前科になる? |
---|---|
書類送検された | ❌ ならない |
不起訴処分になった | ❌ ならない |
略式起訴で罰金刑になった | ✅ なる |
正式裁判で有罪になった | ✅ なる |
📌「起訴猶予」は不起訴処分の一種なので、前科にはなりません。ただし、検察庁に記録は残ります。
書類送検されたらどうなる?
流れとしては次のようになります:
- 警察が任意で取り調べ(逮捕なし)
- 書類と証拠を検察に送付(=書類送検)
- 検察が起訴・不起訴を判断
- 起訴されなければ前科なし、略式起訴や正式起訴で有罪になれば前科がつく
有名人のケースはなぜ報道されるのか?
- 芸能人やスポーツ選手が書類送検されると、「イメージダウン」や「活動停止」に直結します
- 一般人ならニュースにならないケースも多い
たとえば今回のプロ野球選手のように、興味本位であっても違法性があると判断されれば、報道対象になることがあります。
まとめ
- 書類送検とは、逮捕を伴わずに検察に事件を送ること
- 書類送検=逮捕ではなく、前科にも直結しない
- 起訴されて初めて裁判や略式罰金の可能性が出てくる
- 有罪が確定して初めて「前科」がつく
- 報道があると社会的影響は大きくなるが、法律上の手続きとは別の問題
「書類送検された」と聞いて慌てる必要はありませんが、その後の流れや意味を正しく理解しておくことは、報道に流されず冷静に状況を受け止めるために重要です。