2025年4月21日、バチカンから大きなニュースが飛び込みました。ローマ教皇フランシスコが88歳で死去されたのです。長く呼吸器感染症の治療を続けていた中、亡くなる前日にはサンピエトロ広場に姿を見せていたという事実に、多くの人が驚かされました。
日本にも訪れ、平和と核廃絶を訴えた姿が印象的だった教皇フランシスコ。その訃報をきっかけに、「ローマ教皇ってどんな存在なの?」「どうやって選ばれるの?」と疑問を持った方も多いはずです。今回はその基本を、歴史と制度をふまえて丁寧に解説します。
ローマ教皇とは何をする人?
ローマ教皇(Pope)は、カトリック教会のトップであり、バチカン市国の元首でもあります。信徒は全世界に約13億人。その精神的リーダーとして、世界的にも大きな影響力を持っています。
1. カトリック世界の「最高指導者」
- 教義や倫理の最終的な判断権を持つ
- 全世界の司教の上に立つ「首位権」の持ち主
- 神の代理人(ヴィカリウス・クリスティ)として敬われる
2. バチカン市国の国家元首
- バチカンは立派な独立国家
- 外交も担い、大使を受け入れ国際会議にも出席
- 教皇の言動は「国家の公式見解」にもなる
3. 世界平和と社会正義の象徴
- 環境問題、貧困、難民、戦争などに関して積極的に発言
- 教皇フランシスコは特に「核廃絶」と「気候変動問題」に注力
ローマ教皇にはどうやってなるの?
教皇は選挙で選ばれます。その仕組みは「コンクラーベ」と呼ばれ、バチカンの伝統と神聖な儀式に満ちています。
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ローマ教皇を選ぶ「コンクラーヴェ」の仕組みとルールを解説
コンクラーベとは?
- 教皇が亡くなる、または退位すると開催される選挙会議
- 世界中の枢機卿(高位聖職者)のうち、80歳未満の者が投票権を持つ
- 投票は3分の2以上の賛成が必要で、決定時には白煙が煙突から上がる
誰が教皇になれる?
- 原則は「洗礼を受けたカトリック男性」であれば可能
- 実際にはほとんどが枢機卿から選ばれる
- 歴史上、神父でもなかった人物が就任前に急いで叙階された例も
教皇に定年はあるの?
- 基本は終身制
- ただし2013年には教皇ベネディクト16世が自ら退位。これは600年ぶりの出来事でした
ローマ教皇に関する豆知識
- イエズス会出身としては史上初だったのが教皇フランシスコ。知性と社会貢献を重視する修道会で、日本では上智大学などが有名です
- 即位名は自由に選べる。フランシスコ教皇は「貧者の友」として知られる聖フランチェスコにちなんで命名
- 中世には「女性教皇がいた」という伝説(ヨハンナ)もありますが、歴史的には否定されています
まとめ
ローマ教皇は、単なる宗教指導者ではなく、世界平和・倫理・人間の尊厳を語る「道しるべ」とも言える存在です。選ばれるプロセスも神聖かつ厳格で、世界中の注目を集めます。
今回の訃報を機に、「次はどんな価値観を持つ教皇が選ばれるのか」「カトリックのこれからはどうなるのか」に目を向けてみるのも良いかもしれません。