はじめに
「こけらおとし」という言葉を聞いたことはありますか?歌舞伎座や相撲の新しい施設、さらには現代の文化施設がオープンする時によく使われる言葉です。この言葉の意味と由来について解説していきましょう。
いつから使われている言葉?
「こけらおとし」という概念は江戸時代、特に芝居小屋が盛んに建てられた時期に生まれたと考えられています。木造建築が一般的だった当時、建物の完成時に木屑を払い落とすことは必然的な作業でした。これが転じて、新しい興行の開始を意味するようになったのです。
こけらおとしの意味
「こけらおとし」とは、新しく建てた劇場や施設での最初の公演や興行のことを指します。漢字では「杮落とし」と書き、開場記念公演とも呼ばれています。
言葉の由来
「こけら(杮)」は、木材を削った際に出る薄い木片や木屑のことです。昔の劇場は木造建築が一般的で、建築中に屋根や足場に付着したこれらの木屑を、完成時に払い落としていました。この作業が「こけらおとし」と呼ばれ、そこから新しい建物での最初の催し物を指す言葉として使われるようになりました。
使われる場面
もともとは歌舞伎や相撲などの伝統芸能の施設で使われていた言葉ですが、現代では幅広く使われています:
- 歌舞伎座などの伝統的な劇場
- 相撲の施設(両国国技館など)
- コンサートホール(サントリーホール、東京オペラシティなど)
- 美術館(国立新美術館など)
- 文化施設全般(複合文化施設、地域の文化センターなど)
こけらおとしの特徴
- 一般的に、通常より豪華な演目が選ばれることが多い
- 開場を祝う特別な儀式が行われる場合がある
- 多くの著名人が参加することが多い
- 記念品が配られる場合もある
有名なこけらおとしの例
- 歌舞伎座の新開場時の公演
- 国技館の新築時の本場所
- 新しいコンサートホールのオープニング公演
- 大規模なスポーツ施設や複合文化施設のオープニングイベント
伝統的な意味合い
こけらおとしには、新しい建物の門出を祝うという意味合いがあります。同時に、その場所が長く人々に愛され、文化や芸術を発信する場となることへの願いも込められています。
まとめ
「こけらおとし」は、江戸時代に生まれた言葉で、建築現場の作業に由来しながらも、単なるオープニングイベントを超え、新しい文化の発信地としての門出を祝う、日本の大切な文化の一つです。
現代でも、その意味合いは受け継がれ、新しい施設の誕生を祝う象徴的な言葉として広く使われています。