「違法」と「適法」って何が違う?さらにややこしい「不当」までスッキリ解説

違法と適法

ニュースや契約書でよく見る「違法(いほう)」と「適法(てきほう)」。
なんとなく「悪いこと」と「良いこと」だとはわかっていても、いざ違いを説明しようとすると難しくありませんか?

特に厄介なのが「不当(ふとう)」という言葉です。
「不当な扱いを受けた!」と言っても、それが法律違反になるのか、ただの文句なのか、判断に迷うことが多いはずです。

この記事では、「違法」と「適法」、そして日常語と法律用語で意味がズレやすい「不当」の違いについて、専門用語を使わずに解説します。
これを知っておくと、ニュースの理解度が上がるだけでなく、トラブルから身を守る判断材料にもなりますよ。

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結論:3つの言葉は「信号機」でイメージしよう

結論から言うと、この3つは「ルールとの距離感」が違います。信号機に例えるとイメージしやすくなります。

  • 適法(青信号): ルール通り。手続きも内容もバッチリOK。
  • 違法(赤信号): ルール違反。法律で禁止されていることをやった状態。アウト。
  • 不当(黄色信号): ここが要注意。「理不尽・ズルい」状態。日常会話ではセーフ(マナー違反程度)でも、法律の世界ではアウト(無効)になることがあります。

世の中のトラブルの多くは、白黒はっきりした「違法」よりも、この黄色信号である「不当」なケースで起きています。

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1分でわかる「違法」と「適法」の定義

まずは基本の2つを整理しましょう。

違法(いほう)とは

文字通り「法に違(そむ)くこと」です。
ある法律で「やってはいけない」と書かれていることをやったり、「やらなきゃいけない」と書かれていることをサボったりする状態です。
犯罪(刑事上の違法)や、契約違反(民事上の違法)などがこれにあたります。

適法(てきほう)とは

法律の要件(条件)に「適(かな)っていること」です。
単に「悪いことをしていない」だけでなく、「法律が決めた正しい手続きや条件をすべてクリアしている」というニュアンスが含まれます。
(例:建築基準法の条件を全て満たして建てられた「適法建築」など)

一番の落とし穴!「不当」には2つの顔がある

ここが今回のメインテーマです。
「不当(ふとう)」という言葉は、日常会話で使うときと、法律の現場で使うときで意味の重さが変わります。

1. 日常語としての不当(黄色信号)

「ルール違反とは言い切れないけど、モラル的にズルい、理不尽だ」という意味です。
法律でバシッと禁止されているわけではないけれど、常識的にどうなの?という状態。

  • : 行列の割り込み(法律違反ではないが、不当な割り込みとして怒られる)。

2. 法律用語としての不当(ほぼ赤信号)

法律の世界で「不当」とされると、それは「実質的に違法」「無効(効力がない)」と判断されることがほとんどです。
法律は「形式(手続き)」だけでなく、「実質(中身の正当性)」も見るからです。

代表例:手続きはOKでも「不当解雇」になる?

よくある誤解が、「就業規則通りに予告したから、クビにしても適法だ」というもの。
確かに形式(手続き)は整っていますが、その解雇理由が「社長の虫の居所が悪かったから」だとしたらどうでしょう?

労働法では、理由が客観的に合理的でなく、社会通念上相当(常識的)でない解雇は「権利の濫用(不当な解雇)」として無効になります。
つまり、「形式は適法っぽく見えても、中身が不当ならアウト」ということです。

  • 不当解雇: 理由が理不尽なので無効。
  • 不当労働行為: 組合活動への嫌がらせなど。法律で禁止されている(違法)。
  • 不当表示: 景品表示法違反(嘘の広告など)。これも違法。

このように、法律ニュースで「不当」と出たら、「かなり黒に近い(あるいは真っ黒な)黄色信号」だと思ってください。

「脱法(だっぽう)」と「不法(ふほう)」も整理

ニュースで聞く似た言葉も整理しておきましょう。

脱法(だっぽう)とは

「法律の抜け穴を狙うこと」です。
形式的には禁止事項に触れないように見せかけて、実質的には禁止されていることと同じ結果を得ようとする行為です。
昔は「脱法ハーブ」などと呼ばれましたが、現在は「実質的に違法」とみなされたり、すぐに法改正で塞がれたりするため、「脱法 ≒ 違法(かなり危険)」と考えておくのが安全です。

コラム:「合法」と「不法」は何が違う?

  • 合法(ごうほう): 「適法」とほぼ同じ意味で使われますが、「法律に合致している」という広い意味で使われます。
  • 不法(ふほう): 違法と似ていますが、特に民法で「他人の権利を侵害する行為(不法行為)」として使われます。交通事故や名誉毀損などがこれにあたります。

天秤が法律のシンボルになっているのは、こうした「形式」と「実質(公平さ)」のバランスを常に見ているからなんですね。

比較表:その行為、どっち?

迷いやすいケースを表にまとめました。

言葉状態信号具体例
適法パーフェクト🔵 青指定されたルール通りにゴミを出し、誰にも迷惑をかけていない。
不当理不尽・無効🟡 黄形だけルールを守ったが、中身がアウト。(例:嫌がらせ目的の権利行使など)
違法ルール違反🔴 赤粗大ゴミを山の中に勝手に捨てた。(不法投棄)

※ゴミ出しで近所のドアを塞ぐなどの嫌がらせをすると、「不当」というよりは条例違反や民事上の「不法行為」として違法になる可能性があります。

まとめ:形式だけでなく「中身」も大事

「違法じゃなければ何をしてもいい(適法だ)」というのは、法律の世界では通用しないことが多いです。

  • 違法と適法: ルール(条文)を守っているかの違い。
  • 不当:
    • 日常では「ズルい(マナー違反)」。
    • 法律では「中身がダメなので無効(実質アウト)」。

私たちが目指すべきなのは、形だけの「適法」ではなく、誰が見ても納得できる(不当と言われない)行動をとることです。それが結果として、法律トラブルから身を守る一番の近道になります。

もし「警察の捜査は適法だったはずなのに、間違いだった」というケースが気になったら、誤認逮捕されたらどうなる?の記事も読んでみてください。


参考情報

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