「北欧は安全なイメージがあるのに、なぜフィンランドは銃を多く持っているの?」
意外に思うかもしれませんが、フィンランドはヨーロッパ有数の銃所持国です。
この記事では、フィンランドの銃の所持率がなぜ高いのか、その背景にある文化や歴史、他国との比較を通してわかりやすく解説します。
結論:フィンランドの高い銃所持率は「文化」と「地理」に根差している
- 狩猟や射撃競技が盛んで、国民の多くが合法的に銃を所持
- 過去の安全保障環境により、家庭での防衛意識が根強い
- 銃犯罪は少なく、銃所持率の高さ=治安の悪化とは結びついていない
フィンランドの銃所持率:ヨーロッパ上位、世界でもトップ15
国際的な調査「Small Arms Survey(2017年版)」によると、
フィンランドの民間銃所持数は人口100人あたり32.4丁(推計)。
これは西ヨーロッパではオーストリア、ノルウェーに次ぐ高さで、世界全体でも第14位に位置しています。
参考までに他国のデータを見ると:
国名 | 銃所持数(人口100人あたり) |
---|---|
アメリカ | 120.5丁 |
イエメン | 52.8丁 |
セルビア | 39.1丁 |
ノルウェー | 31.3丁 |
フィンランド | 32.4丁 |
ドイツ | 19.6丁 |
日本 | 0.3丁 |
ヨーロッパ諸国の中でもフィンランドは突出した銃所持国であることがわかります。
さらに極端な例として、日本の銃所持率についてはこちらで詳しく紹介しています:
👉 日本の銃の所持率は世界で最も低いって本当?各国と比較してみた。
フィンランドの銃所持率が高い理由とは?
1. 狩猟文化の根付き
フィンランドでは、狩猟が国民的レジャー。
エルク(ヘラジカ)や野鳥、野ウサギなどを狩るため、多くの家庭でライフル銃を所有しています。
- 狩猟ライセンスを取得している国民:約30万人以上
- 狩猟期間中は「休暇を取って森へ行く」のが一般的なライフスタイル
2. 射撃競技の人気
フィンランドでは射撃が正当なスポーツとして社会に根付いており、学生時代から競技に親しむ人も多いです。
- オリンピックの射撃競技でメダル実績あり
- 射撃クラブや練習場も多く、銃が身近なスポーツ器具という面も
3. 歴史的・地政学的背景
フィンランドはかつてロシア帝国の支配下にあり、1939年には「冬戦争」でソ連と戦った過去があります。
このような背景から、フィンランドでは「自衛意識」や「備えの文化」が一般家庭にも浸透しているといわれています。
- 国民皆兵制度(徴兵制)があり、兵役経験者が多い
- 退役後も訓練された市民が「有事への備え」として銃を保有
銃所持率が高くても犯罪は少ない?
はい、事実としてフィンランドの銃犯罪発生率は非常に低いです。
銃の所持は合法でも、管理や使用は極めて厳しく制限されています。
- 銃購入には許可申請と動機の明確化が必要
- 精神鑑定や犯罪歴調査も実施
- 保管義務や弾薬の制限も厳格
このため、銃の所持率が高くても、乱用や犯罪にはつながっていません。
まとめ
- フィンランドは狩猟・射撃競技・防衛意識の高さにより、ヨーロッパ有数の銃所持国
- 世界的にも上位に入りつつ、銃犯罪は少ないという特徴的なバランスを持つ
- 銃規制は厳格に機能しており、文化としての銃所持が社会に受け入れられている
銃を「危険」と決めつける前に、その背景にある文化や社会制度を知ることが、理解への第一歩です。