「関税って誰が誰に払っているの?」「私たちの生活にどう影響するの?」
さらに「なぜトランプ元大統領は高い関税をかけたがるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
2025年7月23日、日米が相互関税15%で合意したというニュース(時事通信報道)を背景に、関税の仕組み・誰が払うのか・トランプ氏の狙い・日常生活への影響を具体的に解説します。
関税は誰が誰に払うのか?
前提:たとえばアメリカが日本から輸入する製品に15%の関税をかけている場合を考えます。
- アメリカの輸入企業(例:アメリカの小売会社や商社)が、日本製品をアメリカに持ち込む際、その輸入企業がアメリカ政府に関税を支払います。
- 関税は「相手国(日本)に払う」のではなく、輸入先の国(この場合はアメリカ)の政府に払う税金です。
- 日本側の輸出企業は関税を直接支払わず、輸入先であるアメリカの企業が負担します。
結論:関税は輸入する企業が、自国(輸入国)の政府に支払う税金です。
トランプ氏は何を狙っていたのか?相互関税か一方的関税か
トランプ元大統領は当初、自国の関税を一方的に高くするという強い保護主義を取っていました。
- 例:2018年の鉄鋼(25%)、アルミ(10%)の追加関税
しかし近年は、「相手国も同じ関税をかけるべきだ(相互関税)」という方向にシフトする場面もありました。
今回の日米合意(相互関税15%)は、この「フェアトレード」を掲げたパターンに近いものです。
初期スタンス:もしアメリカが25%の関税をかけ続けたら?
交渉初期にはアメリカが日本車に25%の追加関税をかける案を提示していました。
例:日本車(1台300万円、約20,000ドル)
- 従来関税(乗用車2.5%) → 20,000ドル × 1.025 = 20,500ドル(+500ドル)
- 追加25%関税 → 20,000ドル × 1.25 = 25,000ドル(+5,000ドル)
差額 4,500ドル(約67万5,000円) が上乗せされます。
影響
- アメリカの輸入企業:仕入れコスト増
- アメリカの消費者:日本車が高くなり購入しにくくなる
- 日本企業:販売台数減で競争力低下
- アメリカ国内産業:一時的には守られるが、消費者は高い車を買うことになる
なぜトランプ氏は高い関税をかけたがるのか?
- 国内産業の保護
安価な輸入品を減らし、国内工場や農業を守る狙い。 - 交渉カードとしての利用
高関税をちらつかせ、他国に譲歩を求める交渉手段にする。 - 政治的アピール
「国内の雇用を守っている」というメッセージを有権者に示せる。
デメリット
- 輸入企業のコスト増 → 製品価格上昇 → 消費者負担増
- 相手国の報復関税 → 自国輸出産業が打撃
- 世界的な貿易摩擦が激化し、景気に悪影響を与える可能性
今回の日米合意:相互関税15%
- 自動車:従来一部で27.5%(追加関税含む)だったものが15%に引き下げ
- 日本は米国産コメ輸入を拡大(無税枠77万トン内)
- 日本企業の対米投資支援:最大5,500億ドル(約80兆円)
ポイント
- 乗用車は従来2.5%、ライトトラックは25%という差がありました。今回の合意で多くの品目が15%に統一される見通しです。
価格への影響:iPhoneの例(仮定)
スマートフォンはWTOの情報技術協定(ITA)により、これまで多くが無税でした。
もし今回の合意でスマートフォンに新たに15%の関税が課されると仮定した場合、以下のようになります。
- iPhone本体価格100,000円(税抜)
- 従来無税 → 今回15% → 115,000円
差額 15,000円 の値上がりとなります。
※実際にスマートフォンに関税が課されるかどうかは、今後の詳細合意内容を確認する必要があります。
日常生活への影響
- 輸入食品:米国産牛肉やコメの価格変動
- 家電・スマホ:iPhoneなどの輸入品に関税が課されれば価格が上昇
- 輸出産業:日本車は関税が下がり、競争力が向上
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まとめ
- 関税は輸入企業が自国政府に払う税金で、相手国政府に払うものではない
- トランプ氏は国内産業保護や交渉力強化のために関税を利用した
- 一方的関税は自国消費者の負担増につながりやすく、今回は相互関税15%で統一する合意に至った
- iPhoneなどの無税製品に関税がかかるかは要確認だが、もし課税されれば価格が上がる可能性がある