ニュースで「政府・日銀が為替介入を実施」という報道を耳にすることがあります。
為替介入とは何なのか?なぜ行うのか?どんな影響があるのか?
この記事では、為替介入の基本からメリット・デメリットまで初心者にもわかりやすく整理します。
為替介入とは?
為替介入とは、政府・中央銀行が外国為替市場に直接介入し、自国通貨の価値を調整しようとする政策行動です。
- 通常は日本銀行が政府(財務省)の指示を受けて実施
- 外国為替市場で「円を買ったり売ったり」して為替レートに影響を与えます
為替介入の基本的な仕組み
- 円買い介入
- 円を買い、外貨(ドルなど)を売る
- 円の需要が増え、円高方向に動く
- 円売り介入
- 円を売り、外貨を買う
- 円の供給が増え、円安方向に動く
👉 つまり介入は「通貨の売買」でレートを調整します。
為替介入を行う主な目的
① 急激な為替変動の抑制
- 短期間で大きく動く為替相場は経済活動へ悪影響
- 輸出入企業の経営計画が立てづらくなる
- 急激な円安・円高を防ぐための「緊急ブレーキ」として使われる
② 輸出産業保護
- 円安誘導で輸出企業の価格競争力を高め、景気を下支え
円安が企業や家計に与える影響については 円安になると何がいけない?メリットとデメリットと業種別の影響。 でも詳しく整理しています。
③ インフレ・デフレ対策の補助
- 通貨価値を安定させ、物価の過度な上昇・下落を抑える補助的役割
物価の基本的な動きは インフレって何?メリットとデメリットは? でわかりやすく解説しています。
為替介入のメリット
- 為替レートの急変動を抑制し、経済の安定に貢献
- 輸出企業の採算悪化を緩和
- 過度な円高・円安の悪循環を食い止める効果
為替介入のデメリット・限界
① 外貨準備の制約
- 継続的な介入には膨大な外貨準備が必要
- 特に円買い介入では準備したドル資産を取り崩す必要がある
② 国際的批判を招く可能性
- 自国通貨安誘導は「通貨安競争」とみなされやすい
- 他国との外交摩擦を引き起こすリスク
③ 長期効果は限定的
- 市場の需給全体を変えるのは難しく、根本的解決にはならない
- 投機筋が逆張りで攻める「市場との攻防戦」になることも
為替介入の最近の事例
- 2022年〜2024年にかけて日本では歴史的円安が進行
- 政府・日銀は複数回の円買い介入を実施し円安の加速を抑制
特に最近の円安水準と為替介入の背景は、日本経済全体に大きな影響を及ぼしています。
為替介入は「最終手段」
政府・日銀は頻繁に為替介入を行うわけではありません。
- 原則は市場原理を尊重
- 介入は「過度の変動」「行き過ぎた水準」への緊急対応として発動
👉 為替介入は慎重に使われる強力な政策手段といえます。
まとめ:為替介入は市場安定化のための「非常ブレーキ」
- 外国為替市場への直接介入で通貨価値を調整
- 急激な為替変動を抑え、経済の安定を図る
- 輸出入・物価・景気すべてに影響
- 長期的には根本対策(経済体質強化・政策調整)が不可欠
ニュースで為替介入が報道される背景には、こうした複雑な政策判断があることをぜひ理解しておきましょう。