日本の歴史において、女性天皇は8人・延べ10代存在しました。
その多くは、皇位継承の空白期や政治的安定が求められた時代に即位しています。
この記事では、歴代の女性天皇を即位順に年表で整理し、主な功績や背景を簡潔に紹介します。
また、最後に「現代に女性天皇が存在しない理由」についても解説します。
歴代女性天皇の年表と功績
推古天皇(すいこてんのう)
在位:593年(即位元年) – 628年
※592年に即政務を開始したとする史料もあります。
- 初の女性天皇。聖徳太子とともに仏教を保護・振興
- 遣隋使を派遣し、対外交流を推進
皇極天皇・斉明天皇(こうぎょく・さいめいてんのう)
在位:642年 – 645年(皇極)/655年 – 661年(斉明)
- 皇極天皇として即位後、一度退位し、斉明天皇として再即位(女性初の重祚=復位)
- 中大兄皇子と中臣鎌足の台頭期。大化の改新の前段階を支えた
- 仏教保護・文化振興が進み、法隆寺の再建もこの時期に行われた(ただし、直接の主導ではない)
持統天皇(じとうてんのう)
称制:686年 – 690年 / 正式即位:690年 – 697年
- 天武天皇の皇后、天智天皇の娘
- 律令制度の整備を進め、孫の文武天皇への安定的な継承を実現
元明天皇(げんめいてんのう)
在位:707年 – 715年
- 和銅元年に貨幣「和同開珎」を発行
- 平城京への遷都を断行し、奈良時代の礎を築く
元正天皇(げんしょうてんのう)
在位:715年 – 724年
- 行基を支援し、社会事業や仏教普及を後押し
- 聖武天皇の母として、皇統の安定に寄与
孝謙天皇・称徳天皇(こうけん・しょうとくてんのう)
在位:749年 – 758年(孝謙)/764年 – 770年(称徳)
- 聖武天皇の娘。道鏡との関係で政治的緊張が高まり、復位(重祚)を果たした女性として2人目の復位例
- 仏教国家体制を強化したが、道鏡事件により政治の私物化も問題視された
明正天皇(めいしょうてんのう)
在位:1629年 – 1643年
- 後水尾天皇の皇女。江戸時代初期の女性天皇
- 島原の乱や諸大名の改易など、幕政が安定化へ向かう時代に在位
後桜町天皇(ごさくらまちてんのう)
在位:1762年 – 1771年
- 江戸時代後期、最後の女性天皇
- 在位中に明和の改革などが進行。明和の大火(1772年)は譲位後に太上天皇として経験
一覧表:女性天皇の在位と主な功績
天皇名 | 在位期間 | 主な功績・出来事 |
---|---|---|
推古天皇 | 593年 – 628年 | 聖徳太子と共同政務、仏教保護、遣隋使派遣 |
皇極・斉明天皇 | 642年 – 645年/655年 – 661年 | 重祚、中大兄皇子時代の安定、文化事業 |
持統天皇 | 690年 – 697年 | 律令整備、文武天皇への安定継承 |
元明天皇 | 707年 – 715年 | 和同開珎、平城京遷都 |
元正天皇 | 715年 – 724年 | 行基支援、福祉と仏教事業 |
孝謙・称徳天皇 | 749年 – 758年/764年 – 770年 | 仏教国家体制、道鏡事件 |
明正天皇 | 1629年 – 1643年 | 江戸初期の安定期、島原の乱を経験 |
後桜町天皇 | 1762年 – 1771年 | 明和の改革。譲位後に明和の大火を経験 |
現代に女性天皇が存在しない理由
現在の皇室制度(皇室典範)では、「皇位は男系男子に限る」と明記されています。
そのため、女性天皇や女系天皇の即位は制度上認められていません。
ただし、皇位継承者の減少や時代の変化により、「女性・女系天皇の是非」は現在も議論されています。
なお、現代の日本における皇室の立ち位置や、なぜ貴族制度が存在しないのかという背景については、以下の記事もあわせてご覧ください:
▶ 現代の日本になぜ貴族がいないの?その理由と歴史的背景をわかりやすく解説
関連書籍のご紹介
歴代女性天皇について、さらに詳しく知りたい方にはこちらの一冊が参考になります:
まとめ
歴代の女性天皇は、「つなぎ」ではなく、政治・文化・社会の重要局面で積極的な役割を果たした存在です。
たとえば、持統天皇は律令制度を整備し文武天皇への継承を主導、推古天皇は仏教を国家方針として取り入れるなど、明確な政治判断を行っています。
その功績は、日本の歴史において欠かせないものであり、今なお学ぶ価値のあるテーマといえるでしょう。