はじめに
死刑制度は国によって大きく異なります。日本の死刑執行の特徴と、主要国の状況を、最新の状況を踏まえて比較解説します。
日本の死刑執行の特徴
死刑執行までの流れ
- 死刑確定から執行までには長期間を要する
- 法務大臣の命令がなければ執行されない
- 執行日時は死刑執行の直前まで本人に告げられない(世界的にも特異な制度)
執行の実態
- 年間の執行件数は0〜3件程度(近年の傾向)
- 執行方法は絞首刑
- 執行は各拘置所の専用の執行室で実施
アメリカの死刑制度
制度の特徴
- 州によって制度が異なる(一部の州は廃止)
- 執行方法は主に致死薬注射
- 一部の州では電気椅子や銃殺も選択可能
- 執行日時は事前に通知(州により期間は異なる)
執行の状況
- 年間10〜20件程度(近年)
- 死刑存置州は27州
- 薬剤調達の困難さから執行に課題
中国の死刑制度
制度の特徴
- 世界で最も死刑執行数が多いとされる
- 執行方法は銃殺または致死薬注射
- 死刑確定から執行までの期間は比較的短い
執行の状況
- 執行件数は非公表
- 人権団体の推計では年間数千件
- 徐々に適用範囲を縮小する傾向
ヨーロッパの状況
EUの立場
- EU加盟国はすべて死刑を廃止
- 死刑廃止はEU加盟の必須条件
- 人権保護の観点から死刑に反対
例外的な存置国
- ベラルーシが唯一の死刑存置国
- 執行方法は銃殺
- EU加盟を目指す国々は廃止の方向
世界の死刑廃止の動き
現状
- 世界の約3分の2の国が死刑を廃止
- G7では日本とアメリカのみが存置
- アジアや中東に存置国が多い
主な存置国
- アジア:日本、中国、インド、シンガポール
- 中東:イラン、サウジアラビア
- アフリカ:エジプトなど
まとめ
死刑制度は世界的に廃止の方向にあり、特に先進国では日本とアメリカ以外はほぼ廃止しています。日本の制度は、執行の事前通知がない点など、国際的に見ても特徴的な制度となっています。