9月はなぜ「長月」と呼ばれるの?意味・由来・使い方をわかりやすく解説

長月

「9月=長月(ながつき)」という言葉、耳にしたことはありませんか?
現代では「9月」と数字で表すのが一般的ですが、伝統的な日本の暦では「長月」という風情ある名前が使われてきました。

この記事では、「長月」の意味や由来、使われはじめた時期、さらには季節の行事との関係まで、わかりやすくご紹介します。

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結論:「夜が長くなる月」だから「長月」

「長月(ながつき)」の最も有力な語源は、「夜長月(よながづき)」の略とされます。
つまり、「秋になって夜が長くなる時期」を表す名前なのです。

他にも、「稲が実って穂が長くなる」ことから「長月」とする説もありますが、主流は「夜が長くなる月」という解釈です。

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いつから「長月」と呼ばれるようになったの?

「長月」という呼び名は、平安時代(794〜1185年)にはすでに使われていたことが記録からわかっています。

  • 最古の文献例:『古今和歌集』(905年頃)に登場
  • 平安中期以降:貴族や歌人の間で季節を表す言葉として定着
  • 江戸時代以降:和風月名として庶民にも広がる

つまり、「長月」という言葉は1000年以上の歴史を持つ日本語なのです。

他の月名とあわせて知っておきたい「和風月名」

「長月」は和風月名(わふうげつめい)のひとつで、旧暦で各月に風情ある名前がつけられていました。

和風月名読み方意味の由来例
7月文月ふみづき書を開く月(学問の季節)
8月葉月はづき葉が落ち始める月
9月長月ながつき夜が長くなる月
10月神無月かんなづき神々が出雲に集まり留守になる月

これらの名称は、旧暦に基づいて季節感や農作業、自然の移ろいを表現したものです。
和風月名の全体像については、和風月名とは?各月の意味・由来・季節感を一覧でわかりやすく解説も参考になります。

「長月」にまつわる季節の行事

「長月」は秋の入口として、さまざまな行事や文化的な習慣と結びついています。

● 秋分の日と彼岸(9月20日前後)

昼と夜の長さが等しくなる「秋分の日」は、「彼岸」の中日。
この時期は先祖供養として墓参りをする習慣があります。

● 重陽の節句(9月9日)

五節句のひとつで、「菊の節句」とも呼ばれます。
邪気を払うとされる菊を飾り、長寿と健康を願います。

● 中秋の名月(十五夜)

旧暦8月15日(現在の9月中旬〜10月上旬頃)には、「中秋の名月」として月見を楽しむ風習があります。
この文化については中秋の名月の特徴と違いで詳しく解説しています。

現代での「長月」の使われ方

現代では、カレンダーや会話ではあまり使われない「長月」ですが、以下のような場面では今も活躍しています。

  • 俳句や短歌などでの季語として
  • お茶会や和装イベントでの季節の演出として
  • 店舗名・商品名・カレンダー表記などで風情を添える言葉として

日本語の美しさを感じさせる響きとして、今なお多くの人に愛されているのです。

まとめ:長月という言葉が映す、日本の秋のこころ

「長月」は単なる9月の別名ではなく、自然の移ろいを感じ取り、それを言葉にしてきた日本人の感性を表す、美しい表現です。

夜がだんだん長くなる9月。
ふと夜空を見上げたとき、「ああ、今は長月なんだな」と思い出せば、季節をより深く味わえるかもしれません。

そんなささやかな感覚を、大切にしていきたいですね。

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