こんにちは、今回は、事故や契約トラブルでよく出てくる「逸失利益」について、わかりやすく解説します。
逸失利益とは?
基本的な定義
逸失利益とは、「ある事故や事件がなければ得られたはずの利益」のことです。例えば、交通事故で仕事ができなくなり、給料がもらえなくなった場合、その失われた給料が逸失利益にあたります。現在から将来にわたって得られるはずだった収入も含まれます。
どんな時に使われる?
1. 交通事故の場合
- 入院期間中の給与
- 後遺障害による収入減少
- 死亡事故での将来の収入喪失
- リハビリ期間中の収入減少
2. 契約トラブルの場合
- 契約不履行で失った営業利益
- 商品納品遅延による販売機会の喪失
- 工事遅延による営業損失
逸失利益の計算方法
基本的な計算式
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間のライプニッツ係数
【計算例】
年収500万円の会社員が交通事故で後遺障害を負い、労働能力を30%失った場合(40歳で、67歳までの27年間分を計算)
500万円 × 0.3(30%) × 15.611(27年のライプニッツ係数)
= 2,341万円
計算で考慮される重要な要素
- 基礎収入:事故前の年収や平均賃金
- 労働能力喪失率:障害の程度に応じた割合
- 労働能力喪失期間:通常は症状固定時から67歳まで
- ライプニッツ係数:将来のお金は物価上昇や金利の影響で現在より価値が低くなるため、これを現在の価値に換算する係数
- 生活費控除:死亡事故の場合、配偶者と子供がいる場合は約30~50%を目安に控除(ケースにより異なります)
労働能力喪失率の目安
- 労災保険の障害等級を参考に決定
- 医師の診断書に基づいて判断
- 職種や年齢によって個別に考慮
請求時の重要ポイント
1. 必要な証拠書類
- 給与明細(直近1年分程度)
- 確定申告書
- 医師の診断書
- 事故や事件の証拠
- 会社の売上資料(事業者の場合)
2. 立証のポイント
請求する側が以下を証明する必要があります:
- 得られたはずの利益の具体的な金額
- 事故や事件との因果関係
- 計算の根拠となる資料
まとめ
逸失利益の計算は非常に複雑で、様々な要素を考慮する必要があります。特に、後遺障害が残る可能性がある場合や、死亡事故の場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。適切な補償を受けるためには、専門家のサポートが不可欠です。