2月になると「春一番が吹いた」とニュースで耳にする機会が増えてきます。でもよく考えてみると、
- どんな風を「春一番」と呼ぶのか?
- なぜ「春一番」という名前がついたのか?
- 毎年必ず吹くものなのか?
…と、意外とあいまいなままの人も多いのではないでしょうか。
この記事では、春一番の定義や由来、観測条件、そして直近の観測記録をもとに、春一番とは何かをわかりやすく解説します。
結論:春一番は「春の訪れを告げる南風」
春一番とは、立春から春分の間に日本海の低気圧に伴って吹く、南寄りの強い風のことです。
- 時期:立春(2月4日頃)〜春分(3月20日頃)
- 風向き:南〜南西の風
- 風の強さ:最大瞬間風速8m/s以上
- 気温変化:前日より気温が上昇することが多い
この風が吹くと、「そろそろ春物コートでもいいかな」と感じる人も多くなります。
春一番という名前の由来
語源は江戸時代の長崎県・壱岐(いき)島の漁師たちに由来します。
1859年春、壱岐の漁師たちが出漁中、突風により遭難。この時の風を「春一番」と呼び、仲間内で語り継いでいたのが始まりです。
やがてその言葉は全国に広まり、気象庁が正式用語として採用するようになりました。
春一番の観測条件
気象庁が「春一番」と認定するには、次のような条件があります:
- 立春から春分までの期間内であること
- 日本海に低気圧があること
- 南寄りの強風(最大瞬間風速8m/s以上)
- 前日と比べて気温が大幅に上昇していること
ただし、地方ごとに基準は若干異なるため、全国一斉に発表されるわけではありません。
関東地方の春一番・最新10年の観測記録
以下は、関東地方における春一番の観測状況です(2025年まで含む):
年度 | 観測日 |
---|---|
2025 | 観測されず |
2024 | 2月15日 |
2023 | 3月1日 |
2022 | 3月5日 |
2021 | 2月4日 |
2020 | 2月22日 |
2019 | 3月9日 |
2018 | 3月1日 |
2017 | 2月17日 |
2016 | 2月14日 |
2015 | 観測されず |
2025年は、冬型の気圧配置が続いたため南風の条件を満たさず、関東では10年ぶりに観測されませんでした。
春二番・春三番ってなに?
「春二番」「春三番」という言葉もありますが、これらは正式な気象用語ではありません。
春一番のあとにも似たような南風が吹いた場合、気象ファンや報道機関が便宜的にそう呼ぶことがあります。
春一番がもたらす影響
春一番は「春の知らせ」であると同時に、以下のような注意も必要です。
- 寒暖差による体調不良(寒暖差疲労)
- 花粉の大量飛散開始
- 強風による倒木・建物破損・火災リスク
- 雪解けの促進(山間部やスキー場など)
特に体調管理と火災予防の観点からは、「春一番=注意が必要な日」として意識しておくのが良いでしょう。
関連情報:天気や気象現象をもっと知るには?
春一番のような身近な気象現象をもっと楽しみたい方には、こちらの記事もおすすめです。
春の嵐とは?なぜ春に嵐が多いのか原因と気候の変化をわかりやすく解説
雷が鳴っている時のPC・電化製品の正しい取り扱い方
まとめ
- 春一番は、立春〜春分の間に初めて吹く南寄りの強風
- 江戸時代の壱岐島の漁師たちが命名した言葉が語源
- 気温の急上昇・花粉飛散・火災など生活への影響も
- 観測されない年もあり、2025年は関東で10年ぶりに未観測
春一番は、単なる「春のサイン」ではなく、私たちの暮らしに深く関わる気象現象です。天気の変化を知るきっかけとして、春の始まりを意識してみてはいかがでしょうか。