「水を得た魚のように生き生きしている」——そんな言い回し、聞いたことありませんか?
でもちょっと気になるのが、「魚」の読み方。普段は「サカナ」と読むのに、この表現では「ウオ」と読むのが正解なんです。
「なんで“ウオ”?」「間違いじゃないの?」とモヤっとした方もいるはず。今回はその理由と、この慣用句の使い方・注意点を、わかりやすく解説していきます。
結論:文学的表現や古語では「ウオ」と読むのが基本
「水を得た魚」の「魚」は、“ウオ”と読むのが正しい理由は以下の通りです。
- 「ウオ」は和語由来の古い読み方(訓読み)
- 文語的・格調高い言い回しに使われやすい
- 慣用句や文学作品では「ウオ」と読むのが一般的
つまり、「水を得た魚」は、日常会話というよりも、少しあらたまった文章で使われる表現だからこそ「ウオ」と読むのです。
一方、普段の生活での「魚屋さん」や「焼き魚」は、現代的な読み方である「サカナ」が使われます。
慣用句の意味:水=その人にとっての最適環境
この慣用句は、
「自分に合った環境を得て、生き生きと本来の力を発揮している様子」
を表しています。
魚にとって水は不可欠。水の外では苦しむ魚も、水に戻れば自由に泳ぎ回れる——この自然な姿を、人間の生き方にたとえたのがこの表現です。
もともとは中国の古典『三国志』の「諸葛亮伝」に登場した「魚の水を得たるがごとし」という表現が起源とも言われています。
使い方の具体例
- 仕事の場面
「営業からマーケティングに異動して以来、水を得た魚のように活躍しているね」 - 趣味の場面
「カメラを買ってから、水を得た魚のように週末は毎日撮影に出かけてるよ」 - 学生生活など
「留学してからは、水を得た魚のように毎日が充実してるみたいだ」
類似表現と対照表現
類似の表現
- 本領発揮:得意分野で能力を存分に発揮すること
- 得意の境地:自分の強みを存分に活かせる場面や状況
- 我が世の春:人生や状況が絶好調な時期
対照的な表現
- 陸に上がった河童:本来の力を発揮できない環境にいる状態
- 場違い:その場にふさわしくない状況に置かれていること
似た構造をもつ慣用句として、
昔取った杵柄ってどういう意味?そもそも杵柄って何?
もあわせて読むと、日本語表現の奥深さが見えてきます。
読み方を間違えないためのポイント
- 慣用句や格調ある文章では「ウオ」
- 会話や日常の表現では「サカナ」
- 読みは文脈に応じて変化するのが自然
現代の国語辞典や言語学者の中には「水を得たさかな」と読んでも通じるという意見もありますが、伝統的には「ウオ」と読むのが慣例であり、より品のある印象を与えられます。
関連知識:「魚は水を飲まないって本当?」
この慣用句から派生して、「魚は水の中でどう生きているの?」と気になる方もいるかもしれません。
詳しくは以下の記事で解説しています:
魚は水を飲まないの?なぜ溺れないの?
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専門性・信頼性について
本記事は、日本語表現や慣用句に関する記事を多数執筆してきた編集チームが、信頼性の高い国語辞典・学術データベース(ジャパンナレッジ、コトバンクなど)を参照し作成しています。
用語の読みや意味については、日本語学習者や一般読者にとって誤解のない表現を心がけています。
まとめ
「水を得た魚」の「魚」は、“ウオ”と読むのが正解です。
これは単なる言い間違いではなく、文学的・古語的な背景に基づいた読み方です。この慣用句を正しく使えると、文章にも深みが出ますし、自分の気持ちをより的確に伝えることができます。
日常の会話では「サカナ」、格調高く表現したいときは「ウオ」——そんな日本語の豊かさを楽しんでみてはいかがでしょうか?