北向きの部屋と聞くと「寒そう」「暗そう」といった印象を持つ方が多いかもしれません。けれど実は、画家や写真家など“光にこだわる人々”に選ばれてきた向きでもあるんです。
この記事では、北向きの部屋が芸術家に好まれた理由と、現代の暮らしにおけるメリット・デメリット、快適に住むための対策までを、転勤族としての体験も交えてわかりやすくご紹介します。
北向きの部屋のメリット
光が安定している
直射日光が入らないため、一日中フラットな自然光が得られます。時間帯によって明るさが大きく変化しないため、作業に集中しやすく、色再現性も高く保たれます。
夏はとても涼しい
京都の夏でも、北向きの部屋は驚くほど涼しく、冷房代の節約にもつながりました。暑さが苦手な方には大きなメリットです。
家具や作品が色褪せにくい
紫外線の影響が少ないため、インテリアや本、美術品などの劣化を防ぎやすいのもポイントです。
芸術・デザイン作業に最適
写真スタジオやデザイン事務所、美術館などが北向きを選ぶのは、こうした光環境が理由。色味や陰影を正確に見たい作業にも適しています。
北向きの部屋のデメリット
冬は寒い
札幌の北向きの部屋では、日差しが差し込まないぶん暖房費がかさみました。断熱対策が必須です。
湿気がこもりやすい
結露やカビに悩まされることも。除湿機やこまめな換気が大切です。
洗濯物が乾きにくい
部屋干しだと特に時間がかかるため、乾燥機や除湿機の併用がおすすめです。
植物には不向きな環境
日照を必要とする観葉植物は育ちにくいため、日陰に強い品種を選びましょう。
なぜ芸術家が北向きを選んだのか?
画家や彫刻家たちが北向きのアトリエを選んだのは、以下のような理由からです:
- 直射日光が入らず、光が常に安定している
- 陰影がやわらかく、微細な明暗表現がしやすい
- モデルへの負担が少ない(直射がない)
例えばモネは、ジヴェルニーの自宅に北向きのアトリエを設けて制作していました。フェルメールやレンブラントも、北向きの自然光を活かした描写で知られています。
現代でも北向きは活用されている
照明技術が進んだ現代でも、北向きの環境は一部で重宝されています。
- 写真スタジオや映像制作現場
- カラーマネジメントを重視するデザイン業界
- 光の影響を受けたくないアート作品の展示空間
- 集中力を必要とする在宅ワーク環境
実際、私が勤務していた東京の広告会社でも、デザインチームのフロアは北向きでした。色校正やレイアウトの確認に最適な光環境でしたね。
北向きの部屋で快適に暮らすコツ
- 断熱対策:窓に断熱フィルム、厚手のカーテンを取り入れる
- 除湿対策:除湿機を導入し、カビや結露を防止
- 照明を工夫:昼白色・暖色系を時間帯で使い分ける
- 洗濯対策:乾燥機、サーキュレーターを活用する
名古屋の単身赴任では、暖色照明と除湿機を組み合わせたことで、湿気にも暗さにも悩まされず快適でした。
北向きの部屋が合う人・合わない人
合う人:
- 集中して仕事や創作活動をしたい
- 夏の暑さが苦手
- 家具や作品の劣化を防ぎたい
合わない人:
- 朝から日差しを浴びたい
- 洗濯物を屋外で干す習慣がある
- 植物を育てたい
まとめ:北向きの部屋は“陰”ではなく“静”の空間
北向きの部屋は、派手な魅力はないものの、静かに整った光環境と涼しさを味方につけられる空間です。
昔の芸術家が惚れ込んだ理由を知ると、その価値がぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。
生活スタイルによっては、北向きの部屋こそが一番フィットする可能性も。先入観にとらわれず、「何を重視したいか」を軸に、住まい選びをしてみてください。
参考までに、家賃や物件選びの視点を深める書籍もご紹介しておきます: