「猫はネズミを食べても平気なの?」という素朴な疑問について、20年以上の臨床経験を持つ獣医師の田中先生に詳しく話を聞いてきました。
「実はこの質問、よく受けるんです。結論から言うと、『なることもある』というのが正直な答えですね」(田中先生)
猫が身につけている防御能力
「猫は長い進化の過程で、ネズミを捕食するための能力とともに、防御能力も身につけてきました」と田中先生は説明します。
1. 強い胃酸
- 人間より強い胃酸で、多くの有害な細菌を殺すことができる
- 消化管での病原体への対抗力が強い
2. 本能的な判断力
- 腐敗したものは避ける傾向がある
- 病気のネズミは捕まえても食べないことが多い
リスクはやはりある
「しかし、現代の環境ではいくつかのリスクがあります」と田中先生は警告します。
1. 寄生虫感染のリスク
- 回虫
- 条虫
- トキソプラズマ
2. 細菌感染の可能性
- サルモネラ菌
- レプトスピラ菌
- パスツレラ菌
3. その他の危険性
- 二次毒物中毒(殺鼠剤を食べたネズミを捕食)
- 消化器系のトラブル
- ネズミとの争いによる怪我
野良猫と室内猫では大きな違いが
「特に注意が必要なのは、野良猫と室内猫での違いです」と田中先生。
野良猫の場合
- 幼い頃から免疫力を獲得
- 狩猟の経験が豊富
- 体力・抵抗力が強い
室内猫の場合
- 免疫力が比較的弱い
- 狩猟経験が少ない
- 消化器系が敏感な傾向
飼い主ができる予防と対策
「飼い主さんができる予防策はいくつかあります」と田中先生はアドバイスします。
- 定期的な駆虫薬の投与
- ワクチン接種の徹底
- 室内での適切な環境管理
こんな症状が出たら要注意
「以下のような症状が見られたら、すぐに獣医師に相談してください」(田中先生)
- 嘔吐や下痢
- 食欲不振
- 元気の消失
- 毛並みの悪化
よくある質問にお答えします
最後に、田中先生によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q:飼い猫がネズミを食べてしまいました。すぐに病院に行くべきですか?
A:「即座の受診は必要ありませんが、その後の様子をよく観察してください。異常が見られた場合は、すぐにご相談ください」
Q:室内飼いの猫もネズミを捕まえる本能はありますか?
A:「はい、あります。ただし、経験がないため、上手に捕まえられない場合も多いですね」
Q:猫の狩猟本能を安全に満足させる方法は?
A:「以下のような方法がお勧めです」
- 猫用の動くおもちゃの活用
- 追いかけっこ遊び
- キャットタワーでの運動
まとめ
「猫は確かにネズミを捕食する本能を持っていますが、現代の環境では様々なリスクがあります。特に室内飼いの猫は要注意です。予防と早期発見が大切ですよ」と田中先生は締めくくりました。