「フェザー級?ライト級?名前が多すぎてわからない」
そんなふうに思ったことはありませんか?ボクシングには選手の体重に応じて17の階級が設けられており、それぞれにルールや戦略が存在します。
この記事では、
- 全階級をポンド・キログラム併記の一覧表で整理
- 階級名の由来や誕生の背景
- なぜ選手が減量して下の階級に出場するのか
- 複数階級での王者「階級制覇」とは?
まで徹底的に解説します。観戦がもっと楽しくなる知識が、ここに詰まっています。
ボクシングの階級とは?
ボクシングでは、体格差による不公平を防ぐため、体重ごとの階級制度が採用されています。試合前日の計量では、選手が所属する階級の体重上限を1オンスでも超えてはいけません。
階級は元々ポンド(lb)単位で設定されており、世界の主要団体(WBA, WBC, IBF, WBO)ではポンド基準が現在も用いられています。
ただし、日本を含む一部の国ではkg換算も一般的に用いられるため、本記事ではポンドとキログラムを併記しています。
全17階級一覧表と名前の由来・意味
階級名 | 上限体重(lbs) | 上限体重(kg) | 英語名 | 名前の由来・背景 |
---|---|---|---|---|
ミニマム級 | 105 | 47.627 | Minimumweight | 最軽量級として設定。「ミニマム=最小」 |
ライトフライ級 | 108 | 48.988 | Light Flyweight | フライ級より軽い階級として新設 |
フライ級 | 112 | 50.802 | Flyweight | 初期の最軽量級。「フライ=軽くてすばしこいもの」の意味 |
スーパーフライ級 | 115 | 52.163 | Super Flyweight | フライ級とバンタム級の中間。階級増設により「スーパー」を冠す |
バンタム級 | 118 | 53.525 | Bantamweight | 「バンタム種」という小型闘鶏に由来 |
スーパーバンタム級 | 122 | 55.338 | Super Bantamweight | バンタム級とフェザー級の間に新設 |
フェザー級 | 126 | 57.153 | Featherweight | 設立当初は軽量級の代表格。「フェザー=羽のように軽い」 |
スーパーフェザー級 | 130 | 58.967 | Super Featherweight | フェザーとライトの間。新設により「スーパー」を冠す |
ライト級 | 135 | 61.235 | Lightweight | 中量級への入り口。軽量の意味 |
スーパーライト級 | 140 | 63.503 | Super Lightweight | ライトとウェルターの中間階級 |
ウェルター級 | 147 | 66.678 | Welterweight | 中世英語の「中くらいの重さ」が語源 |
スーパーウェルター級 | 154 | 69.853 | Super Welterweight | ウェルターとミドルの間に新設 |
ミドル級 | 160 | 72.575 | Middleweight | 最初期の3大階級のひとつ。「中間」を意味 |
スーパーミドル級 | 168 | 76.204 | Super Middleweight | ミドルとライトヘビーの中間 |
ライトヘビー級 | 175 | 79.379 | Light Heavyweight | ヘビー級の一歩手前に位置 |
クルーザー級 | 200 | 90.718 | Cruiserweight | ヘビー級の安全対策として設立。軽量大型船に由来 |
ヘビー級 | 200超 | 90.718超 | Heavyweight | 最重量級。200ポンド(90.718kg)超からがヘビー級の定義 |
※ポンド:lb、kg換算は1lb=0.453592で四捨五入。
減量して軽い階級で戦うのはなぜ?
「体重あるなら上の階級で戦えばいいのに、なぜわざわざ減量するの?」
これは初心者からよく出る疑問です。その理由には、以下のような戦略があります。
1. フィジカル面で有利に立てる
もともと体の大きい選手が減量して下の階級に出場すれば、リーチ・筋力・体格で優位に立ちやすいのが大きな理由です。
2. 対戦相手や王者との相性を考慮
ライバルの強さやスタイルに応じて、「少し下の階級の方が勝ちやすい」と判断されることがあります。
逆に下の階級で苦戦して、階級を上げる選手も多数存在します。
3. 世界戦や統一戦への足がかりにするため
下の階級で実績を積み、将来階級を上げてより大きな試合(統一戦やビッグマッチ)を狙う選手も多いです。
4. ただし減量にはリスクもある
脱水や筋力低下、集中力低下のリスクがあり、減量失敗はパフォーマンスに直結します。
そのため近年は「適正階級で戦う」方針をとる選手も増えています。
階級制覇とは?複数の階級で世界王者になること
ボクシングでは、同一階級で長く王者を守ることも評価されますが、それ以上に名誉とされるのが階級制覇です。
1. 異なる階級でタイトルを獲得する
たとえば、バンタム級で王座を獲得し、階級を上げてフェザー級でも王者になれば、「2階級制覇」となります。
中には4階級・5階級制覇を達成するレジェンドも存在します。
2. 全階級にチャンスがある時代へ
もともと階級数が少なかった時代から比べ、現代は17階級があることで、より多くの選手に複数階級制覇の可能性が生まれています。
3. 階級制覇は万能ではない
階級制覇が多ければ多いほど強いとは限らず、相手の強さや戦った時期、団体の王座の重みも重要視されます。
女子プロボクシングについて補足
本記事では男子プロボクシングに焦点を当てていますが、女子ボクシングにも階級制があります。
階級名や体重設定は男子とほぼ同様ですが、競技人口や実施団体により若干異なる点もあります。将来的には女子階級にも注目が集まっていくと考えられます。
まとめ
- ボクシングは体重別に17階級で構成されており、すべてポンド単位で管理されている
- 各階級には名前の由来や設立の背景があり、ポンドとkgの併記が理解のカギ
- 減量による下の階級挑戦は体格の優位性や戦略の一環として行われている
- 「階級制覇」とは複数の階級で世界王座を獲得することであり、名誉ある称号
- ヘビー級は「上限なし」ではなく、200ポンド(90.718kg)超からが明確な定義
階級制度を知ることで、ボクシングの奥深さが一気に広がります。テレビ中継の一言、「この選手、前はライト級だったんですよ」が、どれほど重みのある事実なのか、今なら分かるはずです。