3分でわかる!双極性感情障害って何?躁うつ病とは違うの?いつから名称が変わった?原因は?治らないの?

双極性障害=躁うつ病

俳優の広末涼子さんが「双極性感情障害」であることを公表したというニュースが話題になっていますね(2025年5月2日配信)。このニュースをきっかけに「双極性感情障害って何?」「躁うつ病とどう違うの?」「治るの?一生付き合うの?」など、疑問を持った方も多いかもしれません。

実はこの「双極性感情障害」という病名、昔の「躁うつ病」と本質的には同じ病気なんです。現在では「双極性障害」または「双極症(Bipolar Disorder)」という名称がより一般的になっています。

この記事では、名称変更の背景や原因、治療法、周囲の理解の重要性まで、わかりやすく丁寧に解説します。

スポンサーリンク

「双極性障害」とは?昔の「躁うつ病」と同じ?

双極性障害(Bipolar Disorder)は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患で、今も「双極性感情障害」という表現が使われることもあります。

その特徴は、気分が両極端に振れること。つまり、異常なまでにテンションが高い「躁状態」と、極端に落ち込んでしまう「うつ状態」とを繰り返すのです。

躁状態と鬱状態の波

この病気には以下のような2つの状態が存在します。

  1. 躁(そう)状態
    • 気分が異常に高揚する(ハイになる)
    • 睡眠時間が極端に減っても元気
    • 話し続けたり、無計画な行動に走ったり、社会的トラブルを起こすことも
  2. うつ状態
    • 強い無気力感や自己否定感にとらわれる
    • 食欲・睡眠の変化、希死念慮(死にたい気持ち)などが現れる

多くの人は「うつ状態」の時だけ医療機関を受診するため、うつ病と誤診されるケースも少なくありません。

双極I型と双極II型

双極性障害には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • 双極I型障害:明確な躁状態と重度のうつ状態が交互に現れる。
  • 双極II型障害:軽躁状態(軽いハイの状態)とうつ状態が繰り返される。

治療法や対応の仕方にも違いがあるため、正確な診断がとても重要です。

スポンサーリンク

名称が変わったのはなぜ?いつから?

「躁うつ病」という呼び名は以前から一般的でしたが、2002年ごろから日本精神神経学会などにより、「双極性障害(または双極性感情障害)」という名称が推奨されるようになりました。

この名称変更には、以下のような理由があります。

  • 「躁うつ」という言葉の印象が強すぎて誤解されやすい
  • 病気の本質である「感情の波の激しさ」を正しく伝えるため
  • 国際的な診断基準(DSMやICD)との整合性を持たせるため

つまり、より専門的かつ正確に理解されるように名称が変わったのです。

なぜ発症する?原因は?

はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、以下のような複数の要因が複雑に関与していると考えられています。

  1. 遺伝的要因
    • 家族に双極性障害の人がいる場合、発症リスクが高まる傾向があります。
  2. 脳内の神経伝達物質のバランス異常
    • セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの機能が関係しているとされます。
  3. ストレスやライフイベント
    • 仕事・家庭環境の変化、人間関係のストレス、出産などが発症のきっかけになることも。
  4. 生活リズムの乱れ
    • 睡眠不足や不規則な生活は、発症や再発のリスクを高める可能性があります。

治療法は?治らない病気なの?

「治らない=絶望」ではありません。双極性障害は適切な治療とサポートによってコントロール可能な病気です。

主な治療法

  1. 薬物療法
    • 基本は気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸など)
    • 症状によっては抗精神病薬が処方されることもあります
    • 抗うつ薬は、躁転(うつから躁への切り替わり)のリスクがあるため、気分安定薬との併用が原則です
  2. 精神療法(心理教育・認知行動療法など)
    • 自分の症状を理解し、再発の兆候に早く気づけるようになります
  3. 生活リズムの安定
    • 毎日決まった時間に起き、食べ、眠るという生活が治療を支えます
  4. 家族や周囲の理解と支援
    • 正しい理解と適切な対応が、再発予防と本人の安心につながります

治療の目的は「完治」よりも「寛解(症状が安定し、日常生活に支障がない状態)」の維持にあります。

周囲の理解がとても大切

双極性障害は外見ではわかりにくい病気です。そのため「気分屋」「甘えているだけ」と誤解されがちですが、これは脳内の調整機能の不具合であり、本人の意思ではどうにもならない状態です。

特に「躁状態」では本人に自覚がないことも多く、周囲が「変化」に気づき、支えることが非常に大切になります。

職場や家庭、友人関係での正しい知識と理解が、社会全体の偏見を減らし、患者さんが安心して治療と生活を両立できる環境づくりにつながります。

まとめ

  • 双極性障害は、かつての「躁うつ病」と同じ病気
  • 感情の振れ幅が激しく、躁とうつの波を繰り返す
  • 原因は遺伝や脳の神経バランス、ストレスなどの複合要因
  • 気分安定薬を中心とした治療と生活リズムの安定でコントロール可能
  • 周囲の理解と支援が、回復と再発予防に大きな力となる

「甘え」や「性格」の問題ではなく、医療が必要な病気です。正しい知識と共感で、私たちの社会はもっと生きやすくなります。

タイトルとURLをコピーしました