ヨーロッパのお菓子作りを学ぶうちにバームクーヘンの魅力に取りつかれ、その歴史や製法を研究してきました。今日は、このお菓子の奥深い世界についてお話ししたいと思います。
ドイツ生まれの伝統菓子
15世紀のドイツで生まれたバームクーヘンには、実は古代ギリシャまで遡る先祖がいるんです。棒に生地を巻き付けて焼く「オベリアス」というお菓子が、そのルーツだと言われています。
当時のドイツでは、裕福な市民や貴族たちが、結婚式や誕生日などの特別な日にこのお菓子を楽しんでいました。伝統的な製法では、職人が一層一層丁寧に生地を重ねて焼き上げていきます。今では一部機械化されていますが、最高級のバームクーヘンは今でも職人の手作業で作られているんですよ。
木のケーキ?その名前の秘密
バームクーヘンは、ドイツ語の「バウム(Baum:木)」と「クーヘン(Kuchen:ケーキ)」を組み合わせた言葉です。断面の美しい層が木の年輪のように見えることから、この名前が付けられました。
日本での物語
このお菓子が日本に伝わった経緯は、とても興味深いものです。1919年3月4日、第一次世界大戦の捕虜として来日していたドイツ人菓子職人のカール・ユーハイム氏が、広島物産陳列館(現在の原爆ドーム)で初めて販売しました。
その後、ユーハイム氏は日本で事業を興し、バームクーヘンの普及に大きく貢献。この功績を記念して、3月4日は「バウムクーヘンの日」として制定されています。時を経て、日本独自の繊細な味わいとしっとりとした食感が生まれ、今では結婚式の引き出物やギフトの定番として親しまれています。
各地に広がる伝統の味
神戸のユーハイム、滋賀のクラブハリエなど、各地の名店がそれぞれの特色を活かしたバームクーヘンを作っています。
クラブハリエのバームクーヘンは、伝統的な製法を守りながら、日本人の味覚に合わせた独自の味わいを追求しています:
- バターの香り豊かな生地
- しっとりとした食感
- 上品な甘さ加減
- 贈り物にぴったりな包装
おわりに
バームクーヘンは、15世紀から受け継がれてきた伝統の技と、日本の繊細な菓子作りの融合から生まれた珠玉のお菓子です。一口食べれば、その魅力の虜になること間違いなしですよ。